非接触のバイタルサイン測定は、COVID-19パンデミックを経て需要が高まり、血圧についても腕・手首にカフを巻き付け圧迫する従来手法に取って代わることが期待されている。南オーストラリア大学とイラク・ミドルテクニカル大学のチームは、額のカメラ撮影により心拍信号検出と血圧測定を行う非接触システムを開発している。
Inventionsに掲載された同技術は、近距離から人の顔面を10秒間撮影し、額の2領域における光電式信号特性をAIアルゴリズムによって抽出、血圧を算出するというもの。肌色の異なる被験者25名を対象とし、異なる環境光と時刻に繰り返しテストした結果、市販のデジタル血圧計との比較で、収縮期血圧で94.6%、拡張期血圧で95.4%という精度を達成した。
この技術は、2017年にドローンカメラから心拍数を抽出するアルゴリズムを実証して以来、開発が進められてきた。5年の研究を経て、チームでは50メートル離れた場所でも呼吸数・酸素飽和度・体温といったその他のバイタルサインを測定できるシステムを開発した。著者で南オーストラリア大学のJavaan Chahl教授は「COVID-19アウトブレイク時のように、患者との物理的接触が危険あるいは困難な場合でも正確に血圧を測定し、心血管系リスクを評価できるシステムが必要だ」と語った。
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