体外受精(IVF)で妊娠に至らない原因として、染色体の「異数性」がある。異数性のチェックには、受精胚から生検によって細胞を採取し、遺伝子検査を行う方法である「着床前異数性遺伝子検査(PGT-A)」があるが、高いコストとともに胚への侵襲性が問題となる。米コーネル大学医学部の研究チームは、AIとコンピュータビジョン技術を用い、非侵襲的かつ自動化された胚の異数性予測アルゴリズムである「STORK-A」を開発している。
The Lancet Digital Healthに掲載された同研究では、受精5日後の胚の顕微画像、母親の年齢、クリニックでの胚の外観評価、などを組み合わせて作動するSTORK-Aを構築し、その性能を評価した。結果、STORK-Aは染色体の異数性をAUCとして76.1%の精度で予測することができた。研究チームでは静止画像からの予測性能の限界を考え、今後は、空間的・時間的な情報に富んだ動画データでアルゴリズムを発展させることを計画している。
著者のZev Rosenwaks氏は「この技術がどこかの時点で、ゴールドスタンダードである遺伝子検査の精度90%以上に近づくことを狙い、最適化してきた。この目標が熱望されていることを実感している」と語っている。
関連記事: