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受精胚評価AIが「妊娠までの期間」を短縮

体外受精(IVF)の成功を左右する重要な要素に、受精胚の質的評価がある。Presagen社のAIプロダクト「Life Whisperer」は手作業による質的評価を上回る性能によって、「IVFにおける妊娠までの期間(TTP: time to pregnancy)を約12%短縮できる」とする研究成果を発表した。

本研究はReproductive BioMedicine Onlineに掲載され、6ヶ国18のクリニックでIVFを受けた4,709名の女性から提供された9,359枚の胚画像に基づき、Life Whispererの性能を検証している。その結果、同プロダクトによるAIスコアと妊娠には正の相関があり、従来の標準的等級付け手法と比較してTTPを有意に短縮(最大12.2%)することを示した。

不妊症に悩むカップルにとってTTPの短縮は、IVFの失敗に伴うコストと心的ストレスの軽減に寄与する。Presagen社のチーフサイエンティストであるJonathan Hall氏は「Life Whispererの汎用性と拡張性は、不妊に悩む世界中の何百万人もの人々が、AI支援のIVFを手頃な価格で受けられるようになったことを意味している」と語った。

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