イスラエルのFairtility社は、より良い条件の受精胚を選別するAIツールの開発を行い、体外受精の成功率向上を目指している(過去記事参照)。従来、受精胚の評価と選別は手作業で行われていたため、治療機会を制限するとともに、人為的エラーの可能性が避けられなかった。Fairtilityは、受精胚評価AIツール「CHLOE EQ」によって、受精胚評価の正確さと一貫性を生殖医療にもたらそうとしている。
Fairtilityは5日、CHLOE EQが欧州医療機器規則(MDR)に基づくCEマークを取得したことを発表した。欧州MDRは2021年5月に発効した新たな法的枠組で、より厳格な適合性実証の要件を定めている。この認可により、欧州の体外受精クリニックへのCHLOE EQ導入が始まる。CHLOE EQは受精胚の生存率予測を行うため、胚盤胞の評価、着床の予測、正倍数性(染色体数に過不足がないこと)の予測、受精胚のグレード付けといった、胚培養士のワークフローを支援する。
Fairtility CEOのEran Eshed氏は「欧州でCE MDRという、より厳しい規制における承認を得て、EU全域のクリニックに対してCHLOE EQの商業販売を行えることになった。EUにおける体外受精の市場規模は2027年までに20億ドル超に達すると推定され、米国市場に先駆けて臨床効果と影響力を実証する絶好の機会を得た」と語る。Fairtilityは、7月3〜6日にイタリア・ミラノで開催された欧州生殖医学会(ESHRE)年次総会でもCHLOE EQを紹介し、その臨床成果を発表している。
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