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日常診療の画像読影パフォーマンスを向上させる骨折検出AI

日常診療において「外傷性の骨折」は見逃しやすく、AIツールで診断能力を向上させる試みが盛んとなっている。フランス・ブザンソン総合病院では、GLEAMER社の骨折診断AI「BoneView」(過去記事参照)を用いた検証研究が行われている。

Diagnostic and Interventional Imagingに発表された同研究では、500名の急性期骨折患者のX線画像を対象として、BoneView支援の有無での読影医3名(筋骨格系画像診断経験15年、経験2年、3年目研修医)のパフォーマンス変化を評価している。その結果、AI支援による骨折診断の感度は86%で、支援なしの感度66%を大幅に上回った。実際、AI支援による偽陰性は26件と、支援なしの偽陰性64件よりも有意に少なかった。さらに、AI支援によって3名の読影医の平均読影時間は1件当たり10-16秒短縮されたことも確認している。

AIの性能のみに焦点が当てられた評価ではなく、AI導入による現場の読影パフォーマンスに関する報告が増えている。日常臨床におけるワークフローの中で、AIツールが与える影響の評価が進み、医療AIがより身近になものになろうとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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