日常診療において「外傷性の骨折」は見逃しやすく、AIツールで診断能力を向上させる試みが盛んとなっている。フランス・ブザンソン総合病院では、GLEAMER社の骨折診断AI「BoneView」(過去記事参照)を用いた検証研究が行われている。
Diagnostic and Interventional Imagingに発表された同研究では、500名の急性期骨折患者のX線画像を対象として、BoneView支援の有無での読影医3名(筋骨格系画像診断経験15年、経験2年、3年目研修医)のパフォーマンス変化を評価している。その結果、AI支援による骨折診断の感度は86%で、支援なしの感度66%を大幅に上回った。実際、AI支援による偽陰性は26件と、支援なしの偽陰性64件よりも有意に少なかった。さらに、AI支援によって3名の読影医の平均読影時間は1件当たり10-16秒短縮されたことも確認している。
AIの性能のみに焦点が当てられた評価ではなく、AI導入による現場の読影パフォーマンスに関する報告が増えている。日常臨床におけるワークフローの中で、AIツールが与える影響の評価が進み、医療AIがより身近になものになろうとしている。
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