救急医療の現場における「骨折の見逃し」を低減するため、AIの導入が盛んに検討されている。英オックスフォードに所在するBotnar Research Centreの研究チームは、AIと臨床医の骨折診断性能を比較するシステマティックレビューを行い、同領域におけるAI導入の可能性を検証した。
Radiology誌に掲載された同研究では、42報の骨折検出AI研究を検証している。メタアナリシスの結果、内部検証セットでは、AIが感度92%・特異度91%を示したのに対して臨床医は感度91%・特異度92%、外部検証セットでは、AIが感度91%・特異度91%であるのに対し、臨床医では感度94%・特異度94%となり、いずれもAIと臨床医の骨折検出の成績で統計学的な有意差を認めなかった。
北米放射線学会(RSNA)のインタビューに対し、同研究の著者Rachel Kuo氏は「本研究の結果から骨折検出AIの臨床的応用の有望性、および教育ツールとしての可能性が示された。臨床医の診断に安心感を与える”第2読影者”としてAIは役立つだろう。一方で、AI支援下の臨床医のパフォーマンスを評価したものはごく少数で、実臨床環境の前向き研究でAIを評価した報告は1報しか含まれなかった。本領域は非常に初期の、前臨床段階にあると言え、臨床医が自らの判断で行動し続ける重要性は変わりない」と語っている。
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