認知症患者は言語障害を1つの特徴とし、言葉のためらい、文法や発音の誤り、語意の忘れなど、微細な手がかりに基づく早期スクリーニングの可能性が注目されている。米ドレクセル大学の研究チームは、発話から認知症の初期段階を予測する自然言語処理モデルの有効性を検証している。
PLOS Digital Healthに掲載された同研究では、OpenAI社が開発した自然言語処理モデル「GPT-3」を用い、アルツハイマー病患者の発話に特徴的な単語使用・構文・語意を含むデータセットでモデルトレーニングを行った。性能検証の結果、アルツハイマー病患者と健常者の識別において約80%の精度を達成し、従来の音響特徴量(発話の間、声の強度、不明瞭さなど)に基づくアプローチを上回ることが示されている。またGPT-3によるテキスト解析は、音声データのみで、認知機能検査としてゴールドスタンダードである「MMSE」スコアの推定にも有効であった。
著者らは「このアプローチが簡便で利用しやすく、十分な感度を持つ検査ツールであること」を強調した上で、臨床診断以前の早期スクリーニングやリスク評価で有効となる可能性に言及する。
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