医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究レビュー論文 - COVID-19画像解析へのAI利用

レビュー論文 – COVID-19画像解析へのAI利用

SARS-CoV-2ウイルスによるCOVID-19拡大は、2019年12月の初発生からわずか36カ月で6億7000万人以上が感染に至り、すでに680万人が死亡している。疾患の迅速かつ正確な検出と診断は、世界中で最優先事項となった。研究者たちはCOVID-19検出のためのさまざまな手法に取り組んでおり、特に胸部画像に対するAI利用例は膨大な数となっている。カナダ・カルガリー大学などの研究チームは28日、COVID-19画像解析へのAI利用を包括的に調査したレビュー論文を公開した。

Medical & Biological Engineering & Computingから公開された論文は、COVID-19画像解析に関する最近のアプローチを詳細にレビューし、既存の研究努力の貢献度や利用可能な画像データセット、および最近の研究で使用された性能指標についてなどを調査している。胸部X線(CXR)、コンピュータ断層撮影(CT)画像、肺の超音波画像を中心とする医療画像に対して、AIベースのアプローチによる自動画像分析システムが多々提唱された。ここでは、患者画像からのCOVID-19検出と分類、感染領域のセグメンテーション、重症度評価、患者の経過追跡が含まれ、機械学習、深層学習、転移学習、およびハイブリッドモデルが活用されている。

COVID-19に対して「AIがどのように適用されてきたか」、「現在どのような課題があり、将来の研究領域には何があるか」を包括的に学ぶことのできるレビュー論文となっている。全文を無償で閲覧できるので、関心のある読者はぜひ一度読んでみることをお勧めしたい。

参照論文:

A survey of machine learning-based methods for COVID-19 medical image analysis

関連記事:

  1. AIによる「Long COVIDサブタイプ」の同定
  2. COVID-19対応に活用されたAIツールの特徴
  3. 音声データからCOVID-19を検出するスマートフォンアプリ開発
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事