JAMA Network Openに掲載された研究では、AIベースの大腸内視鏡検査支援システムは術者のパフォーマンスを向上させ、腺腫検出率(ADR)を改善するとの成果を明らかにした。先行研究から、大腸内視鏡検査は「検査施行時間帯によって検査精度にバラつきのある可能性」が指摘されてきたが、これを改善する支援システムとしての有効性が期待されている。
研究チームは1,780人を対象としたランダム化比較試験において、大腸内視鏡検査時にAI支援群とAI非支援群に割り付けた。1日のうち早い時間帯に行われたセッションは1,041件で、遅い時間帯に行われたのは739件であった。AI非支援群において、早い時間帯のADRが13.73%であったのに対し、遅い時間帯においては5.7%と有意に検出率は低下していた。一方、AI支援群においては時間帯によってADRの有意な差は見られなかった。
研究チームは「AIがより高度な支援性能を発揮するのは、検査精度が低下しやすい遅い時間である」ことを指摘するとともに、「大腸内視鏡検査の品質維持に向けてAIが潜在的有効性を持つことを実証した」としている。遅い時間帯に医師の集中力が低下し、検出率が保たれない可能性のあることは「人間としての限界」とも言えるが、AIによる介入によってこれを防ぐことができるのであれば、望ましいAI活用効果の一例となる。
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