世界保健機関(WHO)は「2030年までの結核撲滅」を目標として、結核治療薬を正しく内服する様子を医療者が直接確認する「DOTS: Directly Observed Treatment Short-course」を推奨しており、動画による観察「VDOT」も代替手段と位置づける。低資源国のウガンダは、新規結核患者が年間45,000人程度発生する蔓延国だが、DOTSに関する人材不足も課題となる。米ジョージア大学の研究チームは「結核患者の服薬動画を解析するAI」をウガンダに導入し、結核治療の質の向上に取り組む。
Journal of Medical Internet Research AIに発表された同研究では、ウガンダで収集された約500本の服薬動画から、患者の内服を認識する深層学習モデルを開発した。テストした4種のモデルのうちパフォーマンスの最も高いモデルでは、内服の識別においてAUC 0.85を達成し、人が同じタスクを行うのと同等の精度でありながら、動画の特徴量生成に要する時間はビデオ1本当たり0.54秒と遥かに高速であった。
著者のJuliet Sekandi氏は、自撮りの世界的流行を活用し、2018年に「DOT Selfie」という抗結核薬の内服動画を投稿するプロジェクトを立ち上げ成功を収めた。同氏は「人の内服を見続けるのは退屈で単調だ。結核対策にモニタリングがどれだけ重要でも、人手不足のクリニックでは、動画を見ることはto-doリストの最下位に落ちる。全ての不足がAIで解決されるとは言わないが、AIに引き渡せる雑務を特定するのが目下の課題だ」と語った。
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