ChatGPTに対して、一般市民が健康上のアドバイスを求めるケースが急増している。この先進技術をどう適切に利用すべきか、各専門家はその回答能力の検証を進めているが、米メリーランド大学医学部の研究チームは、「乳がんの予防とスクリーニングに関してChatGPTが適切に回答できるか」の調査結果を明らかにした。
Radiologyに発表された同研究では、「乳がん予防とスクリーニング」に関する基本事項を扱った25の質問を作成し、各質問をChatGPTに3回投稿して、その回答を乳腺放射線科医が、1.適切、2.不適切、3.信頼できない(矛盾した回答)、の3分類で評価した。その結果、25の質問のうち22(88%)の回答が「適切」と評価された。不適切とされた1問は古い情報に基づいた「COVID-19ワクチン接種でマンモグラフィー検査を4-6週間待機する」という回答で、同項目は2022年2月に既に「待機を推奨しない」とガイドラインで改定済みの内容であった。また、信頼できないとされた2問は、乳がんの個人リスクに関する質問と、マンモグラフィーをどこで受けられるかという質問で、質問の度に回答が大きく変化し一貫性がみられなかったという。
著者のPaul Yi氏は「ChatGPTが88%の質問に正しく回答できたことは大変驚くべきことで、一般ユーザーが簡単に理解できるよう情報を消化しやすい形にまとめるという利点もある。一方で、ChatGPTが主張を裏付けるために偽の学術論文や健康コンソーシアムを創作することも、経験上分かっている。ユーザーはこの技術が新しいもので検証が十分ではないことを認識し、現時点ではまだ医療者にアドバイスを頼るべきだ」と語った。
参照論文:
Appropriateness of Breast Cancer Prevention and Screening Recommendations Provided by ChatGPT
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