英ケンブリッジ大学などの研究チームは、「医療用AI開発における特許取得状況、および特許取得の効果」を仔細に調査し、その結果をNature Biotechnologyから17日公開した。
学術医療システムなどの主要医療機関の多くは、現在AIツールを開発または導入しており、一部のAIツールは、既に数百万人の患者をカバーする電子カルテに組み込まれるなどしている。しかし、このような「医療向け機械学習(MML)」による革新の波にも関わらず、「そのプロセスにおける特許の影響は、詳細に調査されるよりもむしろ概略を説明されるに留まっている」という課題に端を発するものとなる。
論文では医療特許に特化したクラスにおける、過去20年間のコアAI/ML特許の総数は上昇し続けており、また出願数に対する特許付与率も2012年以降上昇していることを指摘する。特にCPC(欧州特許庁と米国特許商標庁との間で合意された特許分類) のA61B(診断・手術・識別・医療機器・方法)内では、MMLに関する特許権者としての上位にシーメンス、フィリップス、サムスン、メドトロニック、GE、IBMなど、医療機器・技術分野の大企業が名を連ねている。同様に大学もMML特許権者の上位に加わっており、カリフォルニア大学やケースウェスタンリザーブ大学、スタンフォード大学などが上位20に入っていた。
著者らは「MML特許クレームの保護範囲、現在の主題適格性要件とAI/MLの先行技術に照らした妥当性、特許明細書開示の十分性などを調査するためにはさらなる研究が必要」としながらも、黎明期からの様子では、当該分野における特許取得は、医療におけるAI/MLイノベーションのインセンティブにおいて重要な役割を果たし続けているとする。
参照論文:
Mapping the patent landscape of medical machine learning
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