医療AIに求める「狂気と慎重さ」のバランス

大胆不敵なイノベーションと現状への挑戦はヘルスケアの進歩に欠かせないが、「型破り過ぎる考えというものもある」と、米Mayo Clinic Platformの代表であるJohn Halamka医師は主張する

Halamka氏は、常識に疑問を投げかけ、現状に挑戦する勇気を持った「恐れを知らないイノベーター」を賞賛する一方、極端に「非慣習的」であり過ぎる場合、特にこれが安全でない臨床判断につながり、益よりむしろ害を及ぼすことになり得ると警鐘を鳴らす。連邦政府は最近、開発者と医療従事者に向けたガイドライン案を2つ発表している。1つ目は、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)による、臨床現場におけるAIの使用に関する規則案だ。そこでは「人工知能」ではなく「拡張知能」がベストプラクティスであることを示唆している。人間のレビューや監視なしにアルゴリズムを使用すると、患者への危害や責任の増大を招く恐れがあるが、既存の人間主導プロセスの補助としてアルゴリズムを使用すれば、こうした問題を引き起こす可能性ははるかに低くなるとの見立てを示した。2つ目は、米食品医薬品局(FDA)が公表したもので、医療AI規制に関して、全てのAIイノベーションを評価するための新しいフレームワークを提唱する。4つの「検証」と多数の使用例を用い、どのAIがFDAの監督対象となる医療機器にみなされるかを定義している。

CMSとFDAが提供するこれらの規則案は、医療AIと臨床医学の進歩に「狂気と慎重さのバランス」が必要であることを思い出せるものだ、とHalamka氏は述べている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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