BrightHeart – 胎児の超音波診断AI

フランス・パリに拠点を置くBrightHeartはこのほど、胎児の心臓疾患を検出する人工知能(AI)システムの開発のため、シードファイナンスとして200万ユーロ(約2.97億円)を調達したことを明らかにした。

同社のAI駆動型ソフトウェアは、2万件に及ぶ胎児検査データを用いて構築されている。胎児が持つ心臓疾患の初期兆候を検出し、医師の臨床的意思決定を支援するもの。BrightHeartは欧州を含む主要な地域において規制当局への申請準備を開始しており、欧州と米国では特許を申請している。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界中で毎年24万人の新生児が心臓障害を含む先天性疾患で死亡し、さらに生後1カ月から5歳までの乳幼児でも17万人が死亡している。

BrightHeartはこの技術を「先天性心疾患のスクリーニングに革命をもたらし、子どもの生存確率を高めるための早期介入を可能にする」としている。実際、胎児心疾患の出生前診断は、新生児の予後を大幅に改善するエビデンスがあり、広く安価に利用可能で有効なスクリーニング手段の確立が求められてきた。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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