ラグビーやホッケー、サッカーなどのコンタクトスポーツのアスリートでは、若年期の脳震盪が後の認知機能低下につながる可能性などが指摘されている。米ニューヨーク大学グロスマン医学校放射線科の研究チームは、頭部MRIを解析するAIツールを用い、繰り返される頭部損傷に起因する「脳構造の微細な変化」を正確に捉えられることを明らかにした。
The Neuroradiology Journalからこのほど公開された研究では、36人のコンタクトスポーツをする大学選手(主にサッカー選手)と45人のノンコンパクトスポーツの大学選手(主にランナーや野球選手)の数百枚の脳画像を用いている。これらの画像データから、脳組織の異常な特徴を特定した上で、これらの要素に基づき、頭部外傷を繰り返し受けた選手とそうでない選手を識別する機械学習モデルの構築に成功した。
本研究の主執筆者であるJunbo Chen氏は「このアプローチが、従来のMRI検査では捉えられなかった『見えない創傷』を検出のに役立つ」と述べた上で、「脳震盪だけでなく、より繊細でより頻繁な頭部への衝撃から生じる損傷を検出するための重要な診断ツールになるかもしれない」としている。
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