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医療AIへの信頼性を探る – GEヘルスケア「Reimagining Better Health」レポート

医療界はAI技術の適用を積極的に進めており、患者体験の向上やアウトカムの改善、業務の自動化、生産性の向上を目指す。しかし、患者・医療者を問わず、AIに対する信頼性に懸念を持つ者も少なくない。その詳細がGEヘルスケアの新たなレポート「Reimagining Better Health」で明らかにされている。

この調査では、5,500名の患者とその支援者、さらに2,000名の医療者に対して調査を行い、代表する24名への定性的インタビューを分析した。その結果、55%の回答者が「AI技術はまだ医療用として準備が整っていない」と答え、また58%が「データへの信頼が不足している」と回答した。経験豊富な医療者の中では、67%もの者が「AIへの信頼を欠く」と表明している。信頼性に関する疑念は、「不完全なトレーニングデータ」、「欠陥のあるアルゴリズム」、「不十分な評価プロセス」等に起因するとし、これらの結果として「アルゴリズムが公平さを欠く可能性」に懸念を示している。特に44%の回答者が「技術にバイアスが含まれている」と感じていた。

一方で、AIの利点も広く認識されており、61%の医療者が「技術が意思決定に役立つ」、54%が「より迅速な医療介入が可能になる」、そして55%が「業務効率の向上に貢献する」と回答している。本レポートでは、AIの導入がうまく機能するために、継続的な教育とトレーニング、そして医療者とAI開発者の間での協力が必要と結論付けている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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