外科的手術は時に欠かせない医療行為だが、術後の合併症リスクは無視できな現実として存在する。COVID-19流行前には、全世界で年間約420万人が手術後30日以内に死亡していたとの推計もある。これは心疾患と脳卒中に次ぐ驚異的な高値である。米ピッツバーグ大学医療センター(UPMC)の研究チームは、電子カルテデータを活用し、術後の高リスク患者を事前に特定するAIモデルを開発した。
JAMA Network Openに公開されている同研究は、UPMC医療ネットワーク内の20に及ぶ医療機関で手術を受けた患者145万人以上を対象として実施された。うち125万人以上の手術患者データをもとにアルゴリズムのトレーニングを行い、その性能を20万人の手術患者で前向きに検証している。結果、開発されたAIモデルは、アメリカ外科学会(ACS)の既存モデルNSQUIPを上回る高い性能を持って、死亡リスクを高精度に予測することが明らかとなった。
本研究を主導したAman Mahajan氏は、「多忙な医療者にとって、術後高リスク患者の特定は簡単な作業ではなかった。従来、臨床医は多くのデータを統合し、追加の検査や臨床評価を頻繁に行う必要があった。我々は既存の電子カルテデータを利用できる使いやすいモデルの構築を目指した」と述べている。
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