重篤な脳損傷患者の回復予測は、その家族や医療従事者にとって重大な関心事だが、現在でも明確な指針や予測ツールは不足している。カナダのウェスタンオンタリオ大学の研究グループは、fMRI画像技術と機械学習の組み合わせにより、重篤な脳損傷からの回復を予測するAIモデル開発に取り組んでいる。
Journal of Neurologyに発表された同研究では、ICUに収容された重篤な脳損傷患者を対象に、fMRIを利用して脳ネットワーク活動を分析し、受傷後6か月以内の神経学的回復を予測するAIモデルを構築した。25名の患者に対する性能評価において、10名の転帰良好な患者のうち8名、15名の転帰不良患者のうち12名を正確に分類していた。
研究を主導したLoretta Norton教授は、「我々は、脳内の異なる領域間のコミュニケーションが、脳損傷患者の回復可能性の情報を捉えていることを確認していた。この既存の画像検査技術を、最新のAI手法と組み合わせることで、脳損傷からの回復をこれまで以上に正確に予測することが可能になった」と語っている。
参照論文:
Predicting neurologic recovery after severe acute brain injury using resting-state networks
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