心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断は、その多様かつ複雑な臨床的特性によって診断の難易度が高く、機械学習技術を利用した診断補助手法の採用が期待されている。カナダ・アルバータ大学の研究者らは、AIを用いたPTSDの自動診断手法に関するシステマティックレビューを実施した。
npj Mental Health Researchに発表された同研究では、最終解析の対象となった41件の論文をレビューする過程で、サポートベクターマシン(SVM)が12件と最も広く採用されていることを明らかにしている。古典的なモデルであるSVMは、中小規模のデータセットに適した性能と、計算処理の要件が少ない点で、研究者の間で好まれ続けている。一方で近年、ディープラーニング(DL)モデルの採用が増加している背景には、音声・映像・テキストの複雑なデータに対する優れた特徴選択能力があることから、PTSDの診断においても特に有効性を示していることが理由に挙げられている。
このレビューを通じ、研究チームでは「PTSDにまつわる診断の難しさから、これまで汚名を着せられ適切な精神科医療を享受できなかった患者に対し、費用対効果と信頼性の高い迅速な診断アプローチを提供できる可能性がある」とAI技術の重要性を強調している。
参照論文:
Systematic review of machine learning in PTSD studies for automated diagnosis evaluation
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