腫瘍は血管組織に富み、その特性を利用した超音波検査による「悪性腫瘍の検出」が行われている。米メイヨークリニックの研究チームは、超音波検査画像の解像度を高めるソフトウェアを開発し、微小血管を高精細に描出することで、がんの診断精度を向上させる取り組みを続ける。
Cancersに発表された同研究によると、開発された高解像度超音波画像ソフトウェアは「quantitative high-definition microvessel imaging(q-HDMI)」と名付けられている。この技術は、人間の毛髪の約2倍に相当する太さ(約150μm)の微小血管を2D/3Dで明瞭に描出できる。さらにq-HDMIツールで取得された画像をもとに、腫瘍を良性か悪性か判別するAIを組み合わせることで、甲状腺結節の良悪性を84%の精度で識別できることが確認された。
従来、甲状腺結節の良悪性を超音波画像で診断する場合、その精度は35-75%程度と限られたものであった。そのため、多くの場合で生検が必要となり、患者にとって大きな負荷となっていた。著者のAzra Alizad医師は、「微小血管を可視化することで、がんの早期診断と治療が可能になる。生検せずに甲状腺結節の良悪性が判定できれば、患者を経済的・肉体的負担から救うことができる」と語っている。
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