20日、Natureに掲載された新しい研究論文では、ディープラーニングアプローチを用いて化学的サブ構造を探索し、抗生物質の新しい構造クラスの発見に役立てている。研究は、MIT・ハーバード大学ブロード研究所のチームが主導した。
フルオロキノロン系とオキサゾリジノン系の登場までに38年の間隔があり、新しい構造クラスの抗生物質を発見するためには膨大な時間が必要である。抗生物質耐性と新しい抗生物質の不足は、細菌感染症による罹患率を増加させている側面がある。現代の抗生物質発見は、構造誘導設計、合理的設計、天然物探索、進化・系統解析、ハイスループットスクリーニング、機械学習を用いたin silicoスクリーニングに基づいて行われる。
化学空間の構造的多様性が大きい新規抗生物質を発見することは極めて困難である。近年、この課題を克服するため、大規模な化学ライブラリから潜在的な抗生物質を同定する目的にディープラーニング手法が用いられてきた。今回の研究では、抗生物質の活性測定とヒト細胞の細胞毒性にリンクした大規模なデータセットを用い、学習したグラフニューラルネットワーク(GNN)モデルを適用した。GNNの各モデルは0から1の予測スコアを生成し、その分子が抗菌活性を持つ確率を示す。
今回の研究は、新しい抗生物質クラスの発見におけるディープラーニングアプローチの有効性を浮き彫りにする。抗生物質の新しい構造クラスは、単一化合物のヒット予測とその化学的部分構造の分析に基づいて同定することができる。化学空間のダウンサンプリングに加え、このアプローチのもう一つの利点は、前例のない構造モチーフの同定を自動化できることにある。グラフに基づく合理的予測の理解が深まれば、新しい抗生物質クラスの発見を促進する可能性が期待されている。
参照論文:
Discovery of a structural class of antibiotics with explainable deep learning
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