英イーストアングリア大学(UEA)などの研究チームが、European Heart Journal Openにこのほど発表した新研究により、女性における非侵襲的心不全診断の精度を飛躍的に向上できる可能性を示した。磁気共鳴画像法(MRI)での心臓評価において、女性特有の生理特性に合わせた最適化モデルによって、より早期に、より正確に診断することが可能になるとする。
この研究は、UEA、シェフィールド大学、リーズ大学の研究者が共同で行ったもの。現在、最良の心不全診断法は、心臓内部の圧力を測定するためにカテーテルを使用することだが、侵襲性が高く一定のリスクが伴うことが課題となる。また、非侵襲的アプローチとして心エコーがあるが、検査に習熟が必要なことと、検査者間の誤差が大きく、最大で50%の症例で不正確な結果を与えているとの報告もある。研究チームは、MRIを用いて非侵襲的に心臓内部の圧力を測定する新しいモデルを導出し、特に女性の心不全初期段階での診断精度を16.5%向上させた。
心不全は心駆出率として知られる、1回の拍動で心臓の主要な部屋から絞り出される血液の量によって、異なるクラスに分類することができる。心臓のポンプ機能は保たれているが、心臓が弛緩して血液で満たされる能力が損なわれているタイプの心不全が、女性では多く見られることが知られている。一方、特に心エコー検査では、このタイプの心不全を診断することが容易ではなかった。
本研究成果は、将来的に多くの女性患者の早期診断につながる可能性があり、早期介入による予後改善が期待される。英国における女性の健康戦略も2年目となり、その一環としても本成果は高い評価を受けている。
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