医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例不妊治療中の卵巣刺激を最適化 - Alife Health

不妊治療中の卵巣刺激を最適化 – Alife Health

体外受精(IVF)治療において、卵胞刺激ホルモン(FSH)の開始用量と排卵誘発注射のタイミングを最適化する人工知能プラットフォームが有望な結果を示したことを、米国の2つの生殖補助医療センターの医師らが明らかにした。本成果はNatureの専門誌であるScientific Reportsで8月20日から公開されている。

IVF治療時には、FSHを用いてホルモン分泌を促進し、卵胞を育てる卵胞誘発注射を行うが、FSH開始容量や排卵誘発注射のタイミングはIVF治療の成功を左右する。本研究は、AIを使用してIVF治療を受けた291人の患者(治療群)と、AIを使用せずに同じ医師による治療を受けた患者(対照群)を比較した。治療群では、医師はAIを使用して卵胞刺激ホルモン (FSH) の開始用量とトリガー注入のタイミングを選択できる。主要評価項目は、使用されたFSHの総量と成熟卵子(MII卵子)の平均数の2つ。結果として、統計的に有意な差ではなかったものの、AIを使用した治療群では、対照群と比較して患者の治療成績が改善し、FSH使用量が減少する傾向が見られた。具体的には、MII卵子の平均数は治療群で12.20個、対照群で11.24個(改善=0.96個、p=0.16)、採取された卵子の平均数は治療群で16.01個、対照群で14.54個(改善=1.47個、p=0.08)とどちらも治療群で多い傾向にあった。また、FSHの平均総使用量は治療群で3,671.95IU、対照群で3,846.29IU(差=-174.35IU、p=0.13)と治療群でFSH使用総量が減少傾向であることを示した。

研究者らは、「この結果は、AIを用いた卵巣刺激の最適化が安全かつ効果的に行える可能性を示す最初の前向き研究の成果であり、AIツールがFSH開始用量と排卵誘発のタイミングに関する意思決定を標準化し、患者の治療プロセスを効率化し得る」と述べている。

参照論文:

Optimizing oocyte yield utilizing a machine learning model for dose and trigger decisions, a multi-center, prospective study

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