従来の嚥下障害を診断する方法は侵襲的で、専門的な設備が必要といった課題がある。韓国のKonkuk University Medical Centerの研究チームは、AIを用いて日常会話の音声データを音節単位で分析し嚥下機能を評価することで、非侵襲的で簡便な方法を提案している。
Scientific Reportsに掲載された同研究では、16名の嚥下障害患者と24名の対照群から日常会話の音声データを収集し、音声認識モデルを用いて音節単位に分割した。その後畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて嚥下障害患者と対照群の二項分類を行った。この深層学習モデルの評価として、音節単位と個人単位の2つの評価を行った。音節単位の分析では、嚥下障害の診断精度は0.794だった。次に、個人レベルでの評価では全体の精度は0.900、ROC曲線下面積(AUC)は0.953を達成した。これらの結果は、先行研究(Seoul St. Mary’s Hospital、Instituto Tecnológico Metropolitano、Pohang University of Science and Technology)と同等かそれ以上の性能を示している。
研究者らは、「この深層学習モデルが、嚥下障害の早期発見のための非侵襲的で簡便な方法として有望である」と述べている。特に、日常会話データを使用することで、より現実的な環境での診断が可能になることが期待される。しかし、サンプルサイズが比較的小さいこと、嚥下障害の重症度を考慮していないことなどの限界もあり、今後の研究での課題として挙げられている。
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