加齢に伴い運動機能は低下するが、これらは多様な障害パターンを示し、歩行速度の低下、バランスの悪さ、歩行の変動性の増加、転倒に対する恐怖の増加、歩幅の短縮などの形として現れる。これらを正確に検出し診断するには、病院やクリニックで行われる短時間の歩行テストで得られるデータだけでは不十分なことが多い。
Scientific Reportsから公開された研究論文では、手首装着型の加速度計とディープラーニングの組み合わせにより、高齢者の日常生活における「歩行から歩行障害を検出できる可能性」を指摘している。研究者らは、自己教師あり学習を用いて、1,000人以上の参加者からなる大規模なラベルなしデータセットでモデルを訓練し、その後、パーキンソン病や慢性閉塞性肺疾患などの疾患を持つ83人の高齢者のラベル付きデータを用いて微調整を行った。このモデルは、従来の最先端アルゴリズムと比較して高い正答率(96.43%)、特異度(98.87%)、再現率(82.32%)、精度(86.69%)、F1スコア(82.92%)を示した。
著者は、このモデルは従来の手法では困難だった「歩行障害のある高齢者の歩行パターンを正確に検出できること」に加えて、神経変性疾患の早期診断や進行モニタリング、年齢関連の健康アウトカムのバイオマーカーとして機能する可能性があると述べている。
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