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Zimmer Biomet社「WalkAI」 – 術後の歩行機能回復を予測するAIモデル

整形外科領域を主力とする医療機器メーカーZimmer Biomet社は、患者データを活用するデジタルプラットフォーム「ZBEdge」の開発に取り組み、手術患者の転帰改善を目指している。ZBEdge上で展開する同社初のAIモデル「WalkAI」は、股関節・膝関節の術後90日時点での歩行機能回復に問題がある患者を予測・特定することができる。

Zimmer Biometは10日付けで、WalkAIのリリースを発表した。同製品は、手術後の患者における歩行データをiPhone上のアプリから収集し、術後15日目から40日目までの歩行速度を毎日解析する。同社が保有する術後回復の典型的なデータと比較することで、術後90日時点での歩行速度が回復の軌道に乗らない可能性のある患者を特定し、臨床医に通知する。その通知を受け取った医師は、当該患者への介入を早期に検討できるようになる。

Zimmer BiometのCOOであるIvan Tornos氏は「ZBEdgeは、データ共有から臨床的洞察を引き出し、『デジタルとロボット技術が相互接続されたエコシステム』という私たちのビジョンを実現している。それは現在、AIモデリングによって強化されている」と語る。WalkAIは2022年3月末までにZBEdgeの機能として国際的に展開し、順次利用可能になる予定とのことである。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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