アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VD)、レビー小体型認知症(LBD)などの認知症は、しばしば複数の病理が共存し、診断が困難となるケースが多い。この課題に対し、テキサス大学サンアントニオ校の研究チームは、剖検前のT1強調MRI画像を活用した深層学習モデル「DeepSPARE」を開発した。このモデルは、AD、VD、LBDに関連する脳の萎縮パターンを個別に検出し、それを定量化する非侵襲的な指標を生成するものである。
9日、Brainから公表された研究論文によると、総計784名(認知症患者423名、対照者361名)のデータに基づき、DeepSPARE指数は高い予測精度(AD:0.844、VD:0.839、LBD:0.623)を示しており、各病理に特有の脳変化を明確に視覚化していた。ADでは海馬の萎縮、VDでは白質高信号の増加、LBDでは後頭部の異常が主に関連していた。
研究チームは「DeepSPARE指数は、認知症の異質性を解明し、診断精度を向上させるための重要なツールとなり得る」と指摘する。今後は、他の病理や新たなイメージングモダリティを統合することで、さらに汎用性の高い指標へと発展させることを計画する。これにより、認知症の早期診断や病態モニタリングが可能となり、個別化医療の発展に寄与することが期待されている。
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