外陰部の皮膚疾患は、患者の羞恥心や診察への抵抗感から早期診断が遅れることが課題とされてきた。中国の研究チームは、陰部皮膚疾患(PPSD:Private Part Skin Disease)の診断補助を目的とするAIシステムを開発し、Journal of Medical Internet Researchに公表した。
既存のAI診断システムは、皮膚病変画像と疾患の組み合わせを直接学習させる方法が採用されている。一方で、今回開発されたシステムは、第1段階において、マルチタスク検出モデルにより、種類、色、形状などの皮膚病変の特徴を抽出し、これらの特徴と患者の診療録を、第2段階として皮膚科医の専門知識によって構築されたナレッジグラフへ入力することで最終的な診断を行う。本システムは、635人の患者のデータにより検証され、平均精度、再現率、F1スコアはそれぞれ 0.81、0.86、0.83 であり、既存の高度な機械学習アルゴリズムよりも優れた結果が得られた。実際の運用においては、患者本人が皮膚病変の写真を撮影、病歴を記載し、本システムにアップロードする。これらのデータは皮膚科医に送信され、最終的な診断結果と治療計画が作成される。
筆者らは、「本AI診断システムにより、患者が皮膚科医との対面診断を避けることができるため、羞恥心などによる診断の遅れを回避できる可能性があり、かつ、PPSD診断の精度向上にも役立つ」と指摘している。
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