AIによる皮膚科医代替の可能性

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皮膚科領域の診断は「スナップダイアグノーシス」が基本とされており、皮膚科医による視診が診断の大部分を占めている。画像診断と親和性の高い畳み込みニューラルネットワークは、放射線科医の代替を起こすかでしばしば大きな議論を呼ぶが、実は皮膚科領域の診断においても大きな可能性を秘めている。

学術誌Natureに公開された、米スタンフォード大学のAndre Esteva氏らによる研究成果は、今日現在1500以上の引用がなされ、同分野におけるランドマークとして取り扱われている。このアルゴリズムは皮膚がんをはじめとした皮膚疾患の識別において、皮膚科専門医と同等の診断能力を持つことが明らかにされた。また、スマートフォンによる同システムの利用さえも実現可能で、これは家庭にいながら皮膚科専門医と同じ精度での診断を受けられる未来を示唆する。

皮膚科領域において、AIアルゴリズムが大きな可能性を持つことは間違いない。ただし、現時点で皮膚科医を完全に代替することは難しい。これは診断や治療などの医学的判断が、実に多面的な要素を含むものであることに加え、Cancer Therapy Advisorが報じたように、アルゴリズムが標準化されていないことや、法規制・承認が十分でないといった実務的な課題も多分に残されているからだ。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。