医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例上部内視鏡検査においてBorrmann4型胃がんの検出を行うAI

上部内視鏡検査においてBorrmann4型胃がんの検出を行うAI

Borrmann4型胃がんは、進行が早く極めて予後不良であるが、潰瘍や腫瘤を形成せずに胃壁全体のびまん性浸潤を特徴とするため内視鏡検査で見逃されやすい。こうした課題を踏まえ、韓国ソウル国立大学の研究チームは、Borrmann4型胃がんを検出するAIモデルを開発した。

2025年2月15日、Cancerに発表された論文によると、研究チームは2004年から2022年にかけ、Borrmann4型胃がんと診断された259名の患者と対照群595名の内視鏡データをレトロスペクティブに収集し、AIモデルの学習と検証を行った。内部テストでは、患者8名と対照群148名の画像・動画が、外部テストでは、患者24名と対照群205名の画像・動画が使用された。患者ベースの診断精度は、内部テストの画像において、正解率、感度、特異度がそれぞれ93.22%、92.86%、93.39%だった。また、内部テストと外部テスト両方の動画において、100%の感度を示した。

研究チームは「Borrmann4型胃がんは比較的稀であるものの、進行のスピードや悪性度を考慮すると、本AIモデルが高感度に疾患を検出できる点に大きな意義がある」と述べている。ゆくゆくは、内視鏡検査中に本モデルがリアルタイムにBorrmann4型胃がんを検出し、疾患見落としリスクを最小限にすることが期待される。

参照論文:

Application of artificial intelligence in the detection of Borrmann type 4 advanced gastric cancer in upper endoscopy (with video)

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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