マンスリーアーカイブ 3月 2025

ICU患者の褥瘡を予測するAI

ICU患者は、長期臥床、循環不全、低栄養などの複数の要因により、褥瘡の発生リスクが高い。褥瘡リスクの予測には、ブレーデンスケールなどのいくつかのアセスメントツールが使用されているが、人工呼吸器管理中の患者は鎮静下にあるため、知覚や活動性の評価が困難である。中国の研究チームは、XGBoostを用いて「人工呼吸器を使用しているICU患者に対する褥瘡発生予測モデル」を構築した。 Natureの関連誌であるScientific Reportsに掲載された論文によると、米国ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのICUに入院した76,000人以上のデータベース(MIMIC-IV)から、呼吸器管理がなされた29,448名の患者が選択され、トレーニングセット(20,614名)と検証セット(8,834名)にランダムに分類された。このうち2,052名の患者で褥瘡が発症したが、XGBoostを用いた予測モデルにより、トレーニングセットでAUC0.797、検証セットで0.739を達成した。さらに、SHapley Additive exPlanations分析により、敗血症、年齢、血小板数、ICU滞在期間、PaO2/FiO2など、褥瘡発生の原因となる重要な10種類の特徴量を同定した。 研究チームは「本モデルの臨床応用に向けては、患者の移動性や予防的介入措置など、患者の転帰に大きく影響を与える要素をモデルに組み込むこと、また異なる医療機関や患者集団で外部検証を行うことが重要である」と述べている。 参照論文:Explainable SHAP-XGBoost models for pressure injuries among patients requiring with mechanical ventilation in intensive care unit 関連記事: AIによる褥瘡予測 「3D印刷された皮膚」が創傷治癒を加速する 日常診療データを用いた褥瘡予測AI

COPD患者におけるICUせん妄を予測するAI

せん妄は、死亡率の上昇に寄与する独立した危険因子であり、患者の予後を悪化させることが知られている。過去の研究から、ICUに入院したCOPD患者において、せん妄の有病率が高いことが明らかになっており、特に注意が必要である。中国の研究チームは、ICU管理を必要とするCOPD患者のせん妄リスクを予測する機械学習モデルを開発し、その成果をPLOS Oneに発表した。 研究チームは、米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターに入院した19万人以上の患者データベース(MIMIC-IV)から、呼吸不全を伴うCOPDでICUに入院した65歳以上の患者1,155名を選択し、せん妄グループと非せん妄グループに分類して解析を行った。k近傍法、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、XGBoostの4つの機械学習モデルが訓練され、せん妄リスクを予測した。モデルの有効性は、検証セットにおいて正答率、F1スコア、適合率、再現率により評価された。その結果、XGBoostモデルが0.932という最高のAUCを示し、他にも正答率0.891、F1スコア0.810、適合率0.839、再現率0.795と優れたパフォーマンスを示した。さらに、せん妄の主要な危険因子として、SHapley Additive exPlanations分析により、Glasgow Coma Scaleスコア(言語機能)、入院期間、入院初日の平均SpO2などが特定された。 著者らは「本予測モデルの実用化に向けて、今後多様な集団において外部検証を行い、モデルの適応性を高める必要がある」と述べた。 参照論文:Enhanced machine learning predictive modeling for delirium in elderly ICU patients with COPD and respiratory failure: A retrospective study...

転移性脳腫瘍の原発巣同定を行う機械学習モデル

転移性脳腫瘍は、頭蓋内病変の約10〜15%を占めるとされる。一般的に、原発巣の同定にはMRIが使用されるが、原発巣が不明な場合には侵襲的な生検が必要となることもある。中国の研究チームは、造影T1強調画像を用いて、転移性脳腫瘍において頻度の高い肺がんと乳がんを区別するラジオミクスモデルを開発し、その成果をTranslational Cancer Researchに発表した。 2015年から2023年までに、病理検査および画像検査によって診断された肺がんを原発巣とする転移性脳腫瘍患者118名と、乳がんを原発巣とする転移性脳腫瘍患者62名の造影T1強調画像をレトロスペクティブに解析した。データはトレーニングセット(126件)と検証セット(54件)にランダムに割り当てている。13種類の重要な画像的特徴量を同定し、これに基づいてロジスティック回帰、サポートベクターマシン、k近傍法、多層パーセプトロン、勾配ブースティング(LightGBM)などの多様な機械学習モデルを構築した。その結果、LightGBMにおいてトレーニングセットで0.875、検証セットで0.866という最も高いAUCを達成している。 本研究では、MRIラジオミクスモデル、特にLightGBMが転移性腫瘍における原発巣の区別に重要な役割を果たす可能性が示されている。研究チームは「今後さらなるデータの集積によりパフォーマンスを改善することで、本モデルが原発巣不明の転移性脳腫瘍の同定、診断、予後評価において重要な役割を果たすことが期待される」と述べた。 参照論文:Radiomics models using machine learning algorithms to differentiate the primary focus of brain metastasis 関連記事:1. 機械学習による脳腫瘍の悪精度判定2. MRI画像から脳腫瘍の硬さを自動検出3. 脳腫瘍の悪性度をMRI検査画像からAIで予測 – 京大 iCeMs

軟部肉腫におけるMRIを用いたAIの診断的有用性:ミニレビュー

軟部肉腫(筋肉や脂肪などの軟部組織に発生する悪性腫瘍)は、MRIにおいていくつかの特徴を示すが、これまでMRI画像のみから異形度や分化度を判別することは困難であった。ドイツの研究チームは、軟部肉腫におけるMRIを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の診断的有用性についてのミニレビューを行い、その結果をFrontiers in Oncologyに発表した。 研究チームは、軟部肉腫におけるMRIを用いたCNNの診断的有用性に関する研究について、PubMed、MEDLINE、Google Scholarを検索し、基準を満たす12件の研究をレビューした。これらの研究のうち、7件は異形度と分化度の評価に関するもので、感度は0.85から0.98、特異度は0.33から1、AUCは0.74から0.96の範囲であった。また、3件は治療反応に関する研究であり、2件は転移と再発予測に関する研究であった。転移に関しては、肺転移の予測に関する研究であり、感度は0.47、特異度は0.97、AUCは0.83だった。使用されたAIモデルは、ResNet、ランダムフォレスト、サポートベクターマシンなど多岐に渡る。 本レビューでは、CNNを用いたMRIによる軟部肉腫の診断に関する多くの研究が、異形度および分化度の評価に焦点を当てていることが示された。特異度にはばらつきが見られるものの、診断性能は比較的良好であることが確認されている。研究チームは「将来的には本モデルにより、軟部肉腫の診断および評価のために穿刺が不要となる可能性がある」と述べた。 参照論文: Diagnostic utility of MRI-based convolutional neural networks in soft tissue sarcomas: a mini-review 関連記事: MRI画像から腎容積を自動計算するCNNモデル ユーイング肉腫患者の5年生存率を予測するAIツール 後腹膜肉腫の悪性度をCT画像から予測

機械学習×MRI:パーキンソニズムの自動鑑別の実現へ

パーキンソニズムを呈するパーキンソン病(PD)、パーキンソニズム型多系統萎縮症(MSA-P)、進行性核上性麻痺(PSP)の臨床的な鑑別は困難な場合が多く、客観的で高精度な診断ツールの開発が望まれている。この課題に対し、米フロリダ大学らの共同研究チームは、MRIに機械学習をかけ合わせたAIDPという手法を開発し、その臨床的鑑別性能を評価する前向き研究の成果を発表した。3月17日よりJAMA Neurologyに掲載されている。 同研究では、PD、MSA、PSPと臨床的に診断がついた40歳から80歳の患者を対象とし、前向きコホート249名(PD:99名、MSA:53名、PSP:97名)と、後向きコホート396名(PD:211名、MSA:98名、PSP:87名)のデータを用いた。3テスラMRI拡散強調像から得た2つのパラメータと、患者の年齢・性別を併せて入力ベクトルとし、サポートベクターマシン(SVM)の学習を行ったものをAIDPと名付けている。前向きコホートのテストセットでAIDPの診断識別タスクを行ったところ、いずれも高精度を示し、各タスクにおけるAUC、陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV)は以下の通りであった。・PD vs 非定型パーキンソニズム:AUC 0.96、PPV 0.91、NPV 0.83・MSA vs PSP:AUC 0.98、PPV 0.98、NPV 0.81・PD vs MSA:AUC 0.98、PPV 0.97、NPV 0.97・PD vs PSP:AUC 0.98、PPV 0.92、NPV 0.98また、AIDPによる予測は、神経病理学的にも93.9%の精度があると検証されている。 研究チームは「本研究の精度はいずれも十分なものであった。今後は、AIDPを神経変性疾患のバイオマーカーと組み合わせて用いることで、疾患の定義や鑑別の精度向上に繋げたい」と述べている。 参照論文:Automated Imaging Differentiation...

AI心電図―性別特異的な心血管リスクを可視化

近年のAI研究の進化により、心電図や心エコーにAI技術を組み合わせることで、多くの有用な知見が得られることがわかってきている。このほど英インペリアルカレッジロンドンは、AIを用いた新しいスコアで、心電図から性別特異的な心血管リスクを評価する研究をThe Lancet Digital Healthに発表した。 従来の心血管リスク評価においては、性別を層別因子とする際に「男性・女性」の二値変数として扱い、一般に女性の方が男性よりもリスクが低いとされてきた。一方で本研究チームは、より個別化した評価が必要であると考え、AIを用いて心電図から予測されるスコアを元に心血管リスクを評価することを目的とした。 本研究では,米ベスイスラエルディーコネス医療センター(BIDMC)の110万件、英バイオバンク(UK)の4万件の心電図データで畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を訓練し、心電図から連続変数として性別を予測するAIモデルを開発した。性別の二値分類タスクに対しては、本モデルはAUROCが0.943(BIDMC)、0.971(UK)と高い精度を示した。その下で、患者の実際の性別とAIの予測値との差分をスコアとし、心血管リスクとの関係をCox回帰モデルで評価したところ、女性においてハザード比が1.78(BIDMC)、1.33(UK)となり、この差分が大きいほど心血管リスクが高まることが明らかとなった。一方、男性においてはハザード比の有意な上昇は見られず、女性のみにおいて、リスク層別化に役立つ可能性が示された。 著者らは「一般に低リスクとされる集団でも、AIを用いたスコアの再計算で心血管リスクを再評価することが可能となった。スコアに影響する遺伝的要因や背景の病態についても今後研究が必要である」と述べている。 参照論文:Artificial intelligence-enhanced electrocardiography for the identification of a sex-related cardiovascular risk continuum:a retrospective cohort study 関連記事:1. AI心電図 – リスク患者の特定により院内死亡を大幅に低減2. 心電図AIで心臓発作のスクリーニング能力を向上3. 心電図から死亡リスクを高精度予測

糖尿病に伴う全身性血管障害を網膜画像から予測するAI:システマティックレビュー

網膜血管は肉眼で直接観察できる唯一の血管であり、「全身血管の窓」とも称される。網膜画像を用いて網膜症を検出するAIモデルはすでに広く臨床応用されているが、シンガポールの研究チームは網膜画像から全身性血管系障害を予測する可能性に注目した。網膜画像のAI分析を通じた「糖尿病に伴う全身性血管系障害の予測および検出」に関するシステマティックレビューを行い、その結果をeClinicalMedicineに発表した。 研究チームは、2000年から2024年の期間において、糖尿病による血管系障害の検出のためにAIを用いた網膜画像分析に関する文献について、PubMed、Web of Science、Google Scholarを検索し、38件の研究レビューを行った。テーマとしては、糖尿病予備群または健常者における糖尿病発症予測(n=4)、糖尿病患者の合併症発症予測(n=10)、眼底検査やOCT(光干渉断層計)を利用した網膜微小血管障害の検出(n=8)、心血管系障害のリスク予測(n=10)などが含まれた。網膜画像撮影のモダリティは、大半が眼底写真であり、6件ではOCTが使用されていた。AIモデルには、畳み込みニューラルネットワーク、ResNet、RETFoundなど、さまざまなモデルが採用された。AUCは0.676から0.971の範囲で、特に慢性腎疾患検出(AUC:0.911)、心血管疾患予測(AUC:0.971)、糖尿病末梢神経障害(AUC:0.867)などの分野で優れた結果が報告されていた。また、AIモデルの予測精度は、年齢、性別、血圧、HbA1cなどの複数要因を考慮することで大幅に改善されることが明らかとなっている。 今回のレビューでは、糖尿病性網膜症におけるAIスクリーニングが全身性血管障害の予測および検出において有望であることが示されている。研究者らは「特に低中所得国の眼科医療へのアクセスが限られる農村地域において、これは画期的なツールとなるだろう」と述べた。 参照論文: Use of artificial intelligence with retinal imaging in screening for diabetes-associated complications: systematic review 関連論文: 糖尿病網膜症スクリーニングAIをカナダ農村部に Eyenuk – 米国での大規模な糖尿病性網膜症スクリーニングサービス実施へ AIは糖尿病性眼疾患の進行を予測できるか?

AIによる大動脈弁石灰化の自動定量

大動脈弁石灰化の定量は、大動脈弁狭窄症(AS)の重症度評価や心血管リスク予測、治療方針の決定に不可欠である。従来、Agatstonスコアを用いたマニュアル評価が標準とされてきたが、非造影CTを必要とし、放射線被曝の増加や作業の煩雑さが課題だった。韓国・ソウル大学の研究チームはこのほど、深層学習モデルと機械学習モデルを組み合わせ、造影冠動脈CT(CCTA)を用いた大動脈石灰化の自動定量化手法を開発し、その成果をScietific Reportsに発表した。 本研究では、177名の患者データを用いて、CCTA画像から大動脈弁領域を自動抽出し、最適化したHU(Hounsfield Unit)閾値を適用することで精度の高い石灰化の自動定量を実現した。具体的には、まず深層学習モデル(DeepLab v3+)により大動脈弁をセグメンテーションし、機械学習モデル(XGBoost)を用いて代表的なCT値を算出した。その後、この代表CT値の1.45倍を超える領域を石灰化と判定することで、従来のAgatstonスコアに類似した加重スコアを算出した。結果として、重度ASの分類では感度88.6%、特異度91.1%、陽性的中率(PPV)88.6%、陰性的中率(NPV)91.1%を達成した。これは、従来のマニュアル評価と比較して、作業の標準化や作業者への依存の低減が期待される結果となった。ただし、低密度の石灰化や血流の高CT値領域の誤検出など、一部のケースで誤判定も見られた。 研究者らは「本技術は、非造影CTを使用せずに大動脈弁石灰化を正確に測定できる新たな選択肢を提供し、臨床現場での診断プロセスを効率化できる可能性がある」と述べている。 参照論文: Deep learning based automatic quantification of aortic valve calcification on contrast enhanced coronary CT angiography 関連記事: 骨密度検査から腹部大動脈石灰化を評価するAI 大動脈弁狭窄症リスクを特定するAIビデオバイオマーカー 心臓弁膜症の検出を自動化

胎児顔面奇形の検出を行うAI:システマティックレビュー

口唇口蓋裂や小顎症をはじめとする「胎児の顔面奇形」を早期に検出することは、基礎疾患の特定や染色体検査などの迅速な医療介入につながる。現在、胎児異常の検出には超音波検査が広く用いられているが、解像度や検査技師の技術に起因する誤診が発生することがあり、この課題を克服するためにAI技術が貢献する可能性がある。インドの研究チームは、AIを用いた胎児顔面奇形の検出に関する既存文献についてシステマティックレビューを行い、その結果をArtificial Intelligence Reviewに発表した。 過去15年間の文献を対象に、PubMed、IEEE、Xploreなどのデータベースから、胎児顔面奇形のAI診断に関する文献が検索された。顔面奇形の画像解析において最も広く使用されているモデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり、詳細な顔面構造や欠損を特定し、正確な診断に寄与した。また、U-Netはセグメンテーション技術として優れており、顔面奇形の局在化や形状の識別に効果的だった。さらに、敵対的生成ネットワーク(GANs)を用いることで、合成画像を生成し、データ不足の問題を補完するアプローチも試みられた。加えて、リカレントニューラルネットワーク(RNN)を活用した研究では、胎児の顔面構造の経時的変化を追跡し、奇形の進行を解析する可能性が示唆されている。 研究チームは「臨床現場における顔面奇形のAI診断を可能とすることで、家族に対し早期に精神的サポートや関連知識の提供、さらには適切な出生前治療や出産計画の策定が可能になる」と述べている。今後は、AIによる画像診断に加え、超音波検査、遺伝子検査、病歴など複数の要素を統合することで、さらに優れた精度の診断が期待される。 参照論文:A comprehensive review of artificial intelligence-based algorithm towards fetal facial anomalies detection (2013–2024) 関連記事:1. 胎児の超音波スクリーニングを支援するAIモデル研究2. AIによるモニタリングで妊婦と胎児の死亡率低下を実現3. 子どもの顔写真から遺伝性疾患をスクリーニングするAI研究

小児レントゲン画像における消化管拡張を診断するCNNモデル

腹部X線画像における消化管拡張は、嘔吐や腹痛などを訴え受診する小児に頻繁に認められる所見である。正確な診断と手術適応のある患者の特定を迅速に行うことは、速やかな外科的介入のために重要である。トルコの研究チームは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを利用して、異常な消化管拡張のX線画像の特定を行い、Diagnostic and Interventional Radiologyに研究成果を公表した。 研究者らは、2019年から2022年までに撮像された消化管拡張または閉塞所見のあるX線画像612枚を、手術を要した患者群(298枚)と手術を要さなかった患者群(314枚)に分類し、さらに消化管異常以外の目的で撮像された腹部X線画像をコントロール群(540枚)として3グループに分類した。そして、事前に訓練された5種類のCNNモデル(ResNet50、InceptionResNetV2、Xception、EfficientNetV2L、ConvNeXtXLarge)について、転移学習と検証を行った。正常画像と異常画像の区別では、正解率がResNet50で93.3%、InceptionResNetV2では90.6%となり、手術を要した群と要さなかった群の区別では、EfficientNetV2Lで94.6%で最も高い精度を示した。 研究チームは「CNNモデルの転移学習を使用し、小児の消化管閉塞を高い精度で診断できることが示された」と結論付けている。今回、手術を要した群に16疾患が含まれたが、サンプル数が少なく個別評価が困難であったため、今後の多施設研究も期待される。 参照論文: Diagnostic accuracy of convolutional neural network algorithms to distinguish gastrointestinal obstruction on conventional radiographs in a pediatric population 関連記事:   癒着性小腸閉塞の手術適応を識別するAI 「小児救急外来でのAI活用」を保護者は受け入れるか? 小児救急を迅速化する機械学習ベースの自律検査指示

浸潤性乳管がんの遠隔転移リスクを予測するAI

浸潤性乳管がん(IDC)は、血行性・リンパ行性に他臓器転移を来しやすいことで知られるが、適切な予後予測と乳がん全体の死亡率低下のためには、転移リスク評価が重要である。中国の研究チームはこのほど、機械学習によるIDCの遠隔転移リスク予測に関するAIモデルを開発し、PLOS Oneに発表した。研究者らは、米国SEERデータベースを用いて88,236名のIDC患者の臨床・病理学的データを収集し、特徴量選択とデータ前処理を行った。そして、ランダムフォレスト、XGBoost、ロジスティック回帰、サポートベクターマシンの4つのアルゴリズムに基づき遠隔転移リスク予測モデルを構築し、さらに投票メカニズムによるハイブリットモデルを開発した。モデルは、正解率、適合率、再現率、F1スコア、AUCで比較され、その結果、投票メカニズムに基づくハイブリッドモデルが最も高い値を示した(正解率:0.867、適合率:0.929、再現率:0.805、F1スコア:0.856、AUC:0.94)。また、優れた予測因子として、手術の有無、TNステージ、腫瘍サイズ、化学療法の過去歴が特定された。現在のところ、AIによるIDCの遠隔転移リスク予測に焦点をあてた研究はほとんど行われていない。研究チームは「医師らは、本モデルに必要な臨床的・病理学的検査情報を簡単に入力することで、転移リスクを迅速に得ることができる」と述べている。参照論文:Machine learning-based prediction of distant metastasis risk in invasive ductal carcinoma of the breast関連記事:1. 「AIアルゴリズムの組み合わせ」が乳がんリスクの長期予測に寄与2. 乳がん手術における腫瘍摘出精度を向上させるAI3. 乳がん病理画像から「HER2発現の有無」を予測するAI

AIによる「てんかん治療薬の仮想ランダム化比較試験」 – 米ハーバード大学

近年、医療分野における人工知能、特に大規模言語モデル(LLM)の活用が注目されている。このたび米ハーバード大学の研究チームは、LLMを用いて、てんかん治療薬の有効性を評価するシミュレーションによるランダム化比較試験(RCT)を実施し、その成果をEpilepsy Researchに発表した。 本研究では、AIが大量の臨床データから情報を抽出し、治療効果を推論する能力の評価を目的とした。仮想RCTの概要は、てんかん治療薬を模した薬剤の効果を検証するために、240人の患者をプラセボ群と薬剤群に無作為に割り付け、患者の発作頻度を発作日記シミュレーター「CHOCOLATES」で再現したものである。CHOCOLATESは、実際に行われた過去のRCTとの照合から、てんかん患者の発作挙動をよく再現することが検証されており、本実験では多様な発作パターンを示すよう設定された。その後、3つの異なるLLMを用いて、①発作日記を基にした自由記述での記録(カルテ記述)、②記録から発作回数や症状などの情報抽出および要約、③要約を統合したデータ解析の3工程を行い、医師が①の記録を元に解析したデータとの比較を行った。その結果、薬剤の有効性を評価する指標である50%反応率と中央値変化率の両者において、AIと人間の計算値の差が1%程度とほとんど違いが無く、人間の分析と同程度にAIが薬剤の有効性を評価できることが示された。 著者らは「本研究は概念実証(proof-of-concept)として行ったものだが、非構造化臨床データからAIが帰納的推論を行うことが可能だと示した。また自由記述での記録には、実際の臨床現場と同様に不正確な報告や記述などの『ノイズ』を交えたが、本システムでは効果や副作用を適切に判別することができ、応用可能性が高いことが示唆される」と述べている。なお、本研究のソースコードはGithubにて公開されている。 参照論文:Inductive reasoning with large language models: A simulated randomized controlled trial for epilepsy 関連記事:1.大規模言語モデルがEBMを推進する2.TRIPOD+AI – ヘルスケア研究におけるAI利用を反映する新ガイドライン3.UCLA「MOVER」 – AI研究推進のための大規模手術室データベースを公開

菌血症診断はAIの時代へ?早期介入を可能に

菌血症には迅速な診断と治療が求められるが、血液培養検査の結果には1-2日を要し、また皮膚常在菌の混入による偽陽性もありうるため、より早期に確定診断を得るための手法が模索されている。これに対し、英インペリアルカレッジロンドンの研究チームは、深層学習を用いて、入院患者の日々の血液データから菌血症状態を高精度に予測可能だと発表した。 The Lancet Digital Healthに掲載された本研究では、菌血症疑いで血液培養検査を受けた20,850人のデータを用いた。患者の年齢、性別、血液バイオマーカーのデータを、血液培養検体採取前の最大14日間までレトロスペクティブに収集し、モデルの学習を行った。LSTMモデル(時系列モデル)および静的ロジスティック回帰モデルに学習を行い、血液培養が陽性となるか否かを予測させたところ、総じてLSTMモデルの精度が良く、テストデータでAUROCが0.97、AUPRCが0.65という結果を得た。また時系列情報を除くとモデル性能は低下し、特にCRP・好酸球数・血小板数の変動が重要な指標であることが明らかとなった。 研究チームは「本研究のようなモデルを用いて菌血症リスクの層別化を行うことで、血液培養をより適切に確信を持って実施できるようになり、抗菌薬の不適切使用の抑制にも繋がるだろう」と述べている。今後は、菌血症予測モデルの臨床的有用性、費用対効果などを前向き研究で検証することが期待される。入院患者の日常的な臨床データの活用法についても、より一層の発展が望まれる。 参照論文:Utilising routinely collected clinical data through time series deep learning to improve identification of bacterial bloodstream infections: a retrospective cohort study関連記事:1.「敗血症治療開始の最適なタイミング」を予測するAI2....

【ダイジェスト】The Medical AI Times Podcast #1 | 前立腺がん検出AIから読み解く、AI社会実装への道

この記事は、The Medical AI Times Podcast第1回をもとに編集・構成したものです。ポッドキャスト音源とあわせて、テキストでも情報をキャッチアップできるようにお届けします。 【番組概要】■タイトル:前立腺がん検出AIから読み解く、AI社会実装への道 #1■配信日時:2024/10/1■出演者:島原 佑基、植田 大樹、中安 杏奈、宮内 諭■第一回テーマ:前立腺がん検出AIから読み解く、AI社会実装への道 #1■配信ページ:Spotify:https://podcasters.spotify.com/pod/show/the-medical-ai-times/episodes/AIAI-1-e2p2dvhApple Podcast:https://bit.ly/3BBQ23eAmazon Music:https://music.amazon.co.jp/podcasts/c1e89571-4fe4-4b6e-85c0-de143c573d8c/the-medical-ai-times-podcast-Voicy:https://voicy.jp/channel/784845YouTube:https://youtu.be/TdQWqZ2mIPI 参照論文: Fully Automated Deep Learning Model to Detect Clinically Significant Prostate Cancer at...

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