医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点The Medical AI Times 編集部が選ぶ - 2020年 注目記事 Top 10

The Medical AI Times 編集部が選ぶ – 2020年 注目記事 Top 10

「2020年」果たして誰がこんな年になると予想できたでしょうか。COVID-19のパンデミックで未曾有の公衆衛生上の危機を迎えた世界、そして日本。発生から現在まで、この危機に立ち向かったすべての人々に感謝と敬意を捧げます。

The Medical AI Timesは本年も「医療 × AI」に関心の高い読者の皆さまの支持をいただき、編集部一丸となって1年を走り切りました。愛読いただいている方々へ私たちから直接お礼を申し上げる機会は限られていますが「1年を振り返る特集記事を今年も企画してほしい」というありがたい言葉を各方面からいただいています。師走に筆を走らせることで、その感謝の一端を伝えられれば幸いです。

本年も誠にありがとうございました。

なお昨年末「2019 TOP 10」の特集記事はこちら。仕事納め後で配信を見逃したビジネスパーソンも少なからずいたようでした。今でも再読に堪えうる特集に仕上がっている自負があるので、ぜひ後ほど時間のある際にお目通しください。
The Medeical AI Times 編集部が選ぶ – 2019年 注目記事 Top 10

The Medeical AI Times 編集部が選ぶ – 2019年 注目記事 Top 10

 

さて、昨年に続き冒頭で紹介するのは、オランダを本拠とするテクノロジー企業Philipsが毎年発表しているFuture Health Index(未来の医療環境指数)の2020年版です。

2020年レポートでは「COVID-19と医療従事する若者たち」という特集が組まれています。米国・中国・シンガポール・フランス・ドイツの5カ国の40歳以下の医師500名を対象として、パンデミックが彼ら若年層にどのような影響を与え、医療業界がどのように変化すべきか考えを明らかにしております。何より心を熱くするのが、この危機を経験したからこそ医療の世界に踏みとどまる決意を強めたという若者たち全体の意識変化です。日本国内で「医療崩壊」が声高に叫ばれるなか、様々な意見はどの世代を反映したものなのか?報道の向こう側を読み解くリテラシーを各々が発揮したいものです。

 

さていよいよ、今年もThe Medical AI Times編集部が2020年の配信記事から読者の皆様の注目度が高かった記事を10本厳選します。新型コロナウイルス関連でメディアが一色に染まるなか、私たちの配信記事のトレンドも刻一刻と変化していました。およそ時系列にそったご案内です。

それではTOP10を紹介しましょう。

 

No.1

医療AIの最新活用事例とは?医師が解説【2020年版】

圧倒的な年間最大アクセスを記録している弊メディアを代表する記事です。編集長が自ら手がける長文で、2020年版にアップデートしました。「医療 × AI」「AI × 医療」の検索トレンドで国内有数の地位を占める私たちの仕事の集大成です。巣ごもりで時間ある際にぜひ通読を。そして2021年版リリースをお待ちください。

 

No.2

新型コロナウイルスに早期警告を発したAI – カナダ発スタートアップ BlueDot(2月4日公開)

新型コロナウイルスに早期警告を発したAI – カナダ発スタートアップ BlueDot

いったい世界に何が起きているのか。情報が錯綜する中、名だたる有数の当局よりも先んじてアウトブレイクに警告を発したスタートアップが話題を集めました。このようなニュースはまさしくスタートアップやベンチャーを応援する醍醐味です。編集部として先頭を泳ぐペンギンの情報をこれからも追いかけていこうと心に銘じました。

 

No.3

台湾の新型コロナウイルス初期対応に世界的な高評価(3月12日公開)

台湾の新型コロナウイルス初期対応に世界的な高評価

流行の激震地に近接しながら、国力を総動員して事に臨んだ台湾の対応策は、時を経て今もなお高評価が続いています。地政学的な状況に翻弄されながらも、先端技術を運用する人材と組織そして彼らの強い意志について、隣国から私たち日本が学ぶことは多いでしょう。

 

No.4

COVID-19のトリアージ – 胸部X線画像を正常と診断するbehold.aiのAI技術(4月16日公開)

COVID-19のトリアージ – 胸部X線画像を正常と診断するbehold.aiのAI技術

COVID-19の検査とスクリーニングについて、各医療機関では混乱が起きました。PCR検査が診断の決め手でありながら、その時間や医療資源の制約を乗り越えるため、AIが得意とする画像診断技術を補助的に活用する動きが盛んとなっています。

 

No.5

AI聴診器のStethoMe – 欧州で複数の遠隔医療プロバイダーと提携(4月23日公開)

AI聴診器のStethoMe – 欧州で複数の遠隔医療プロバイダーと提携

感染リスクから遠隔医療への待望論が強まり、AI聴診器がトレンドとなりました。臨床医の立場からすると、デジタル聴診器は遠隔診療に残された最後の砦に思えます。4月に記事でとりあげたのち、直近12月には日本の商社「丸文」が同製品について日本総代理店契約の締結と2021年の日本国内販売を発表したことで、市場は敏感に反応していました。

 

No.6

(医師がレビュー)日本におけるオンライン診療サービスのまとめ【2020年最新版】(6月8日公開)

パンデミックという外圧が後押しした結果でもありますが、2020年はオンライン診療サービスの元年と呼べることになりそうです。各業界の意見はまだまだ一枚岩とならず、時限的延長など仮措置が続く状況ですが、サービスの成熟と拡大は必然の流れでしょう。本記事についても2021年最新版へのアップデートをご期待ください。

 

No.7

【立教大学大学院人工知能科学研究科・公式インタビュー 】 傑出したAI人材輩出の拠点へ(6月9日公開)

【立教大学大学院人工知能科学研究科・公式インタビュー 】 傑出したAI人材輩出の拠点へ

優れたAI人材の輩出を目標とする教育機関とタッグを組み実現した、オンライン座談会形式のインタビューが読者の皆さまに好評でした。ひっ迫した社会情勢下でも、次世代を担う若者たちの学びの機会こそが最重要課題です。明るい未来をつくり上げるのはやはり素晴らしい教育であってほしいと、編集部一同の願いが込められています。

 

No.8

スマートフォンで眼からパーキンソン病を識別するAIシステム(11月27日公開)

スマートフォンで眼からパーキンソン病を識別するAIシステム

コロナ一色であったメディアが次第に多様さと冷静さを取り戻し、元来望まれていたAIに対する技術的期待が改めて出揃ってきています。「目は口ほどにものを言う」ことから、この記事が一億総マスク社会の中で読者に「注目」された理由と考えるのは、私たち編集部の深読みが過ぎるでしょうか。

 

No.9

一般血液検査でCOVID-19感染の可能性を除外 – Biocogniv社「AI-COVID」(12月14日公開)

一般血液検査でCOVID-19感染の可能性を除外 – Biocogniv社「AI-COVID」

PCR検査を補完するスクリーニング検査に対する期待は直近でも高まり続けています。普段からルーチンで採られる一般血液検査でCOVID-19感染を識別できないか、話題が膨らむ機運を編集部でも敏感に感じとっています。

 

No.10

脳とコンピュータの接続技術確立へ – 米 Paradromics社(3月25日公開)

脳とコンピュータの接続技術確立へ – 米 Paradromics社

最後の一本はやはり、未来に対する変革の期待を込めた記事の選定です。話題を同じくするイーロン・マスク氏のBCI(Brain-computer Interface)事業「Neuralink」は2019年に大きな話題となりました。同氏が率いた宇宙船プロジェクト「スペースX」が打ち上げられるたび、街で「テスラ」が走るのをみるたびに、未来を感じ胸に迫るものがあります。2021年においても間違いなくBCI技術はホットトピックスとなり続けるでしょう。

 

以上、編集部より「2020年注目記事TOP10」を紹介しました。

皆様のご健勝を祈念しております。
よい新年を迎えられますよう。

The Medical AI Times
Deputy Editor:
T. Sugino MD(TOKYO analytica, Ltd.)

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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