医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例The Medeical AI Times 編集部が選ぶ - 2019年 注目記事 Top 10

The Medeical AI Times 編集部が選ぶ – 2019年 注目記事 Top 10

2019年も残りわずかとなりました。The Medical AI Timesは医療関連AIに関心の高い多くの読者に支えられ、年内に予定された記事配信の最終入稿を迎えております。本年も誠にありがとうございました。2020年が皆様にとって飛躍的で革新的な素晴らしい年になりますよう、編集部一同お祈り申し上げます。

 

オランダのアムステルダムに本部を置くWebサイトThe Next Webでは、2020年にAIで予想される8大トレンドを紹介しています。各分野の専門家が言及し網羅的な内容となっておりますので、興味のある方は精読ください。

1.さらに正確で低コストになる。2.説明可能性と信頼性が注目される。3.多量のデータを必要としなくなる。4.ニューラルネットワークが進歩する。5.AI開発が自動化する。6.製造業への導入が進む。7.地政学的な意味合いが増す。8.創薬分野を革新する。といった8個のトレンドです。

記事はWebサイトと同じオランダを本拠とするテクノロジー企業Philipsの提供が背景にあります。フィリップス社はFuture Health Index(未来の医療環境指数)という調査を毎年発表し、2019年レポートでは「AIの医療利用」にも言及しています。2019-2020で医療を取り巻くAIの世界はどのように変革してゆくのか楽しみです。

 

さて、The Medical AI Times編集部では、2019年の配信記事から読者の皆様の注目度が高かった記事を多角的かつ網羅的になるよう10本厳選いたしました。3月から12月まで時系列順に紹介しています。これを読めば2019年の医療AIトレンドを総復習できるかもしれません。

ここでTOP10紹介の前に、年間で最大アクセスを記録している弊メディアを代表する記事をご案内させてください。日々の配信記事に比べ長文であるため、年末年始のお時間のある時に是非ご通読を。

AI医療の最新活用事例とは?医師が解説【2019年版】 

4月公開から現在まで多くの方々にお読みいただきました。編集部一同、身の引き締まる思いを胸に、新たなトレンドを取り入れた2020年版もお届けできるよう鋭意検討中です。

 

それではTOP10を紹介しましょう。

 

No.1

AIによる創薬 – 合成経路の自動探索技術(3月19日公開)

AIによる創薬 – 合成経路の自動探索技術

冒頭紹介の8大トレンドにも創薬分野があげられています。既に従来の古典的な創薬手法は限界を迎えているでしょう。人材・時間・資金それらを省力するための次世代の創薬アプローチにAIを最大限活用するのは既定路線と言えます。

 

No.2

NVIDIA 米国放射線医会と提携へ(4月15日公開)

NVIDIA 米国放射線医会と提携へ

AIが医療画像の読影および診断で大きな成果をあげることを、世界の放射線科医はいち早く実感しています。「AIが放射線科医の仕事を奪う」という論調が流布された時期もありますが、医師の業務をAIがサポートするという当たり前の結果に落ち着いています。むしろ放射線科医たちはAI開発に先進的に協力してゆく姿勢を様々な場面で表明しています。医療人材の不足が指摘されるなか、業務負担の軽減はおよそ誰にとっても歓迎すべきことです。

 

No.3

医療現場はサイバーアタックの脅威が増していく(5月15日公開)

医療現場はサイバーアタックの脅威が増していく

AI開発に注目が集まる一方で、医療現場で忘れられがちなのがサイバーセキュリティです。設備投資や更新に対する負担もあり旧時代のOSで稼働しているような医療機器もしばしば見受けられます。最先端技術の片隅でひっそりと動作保証対象外となっている検査機器など、患者個人情報保護の抜け穴は枚挙に暇がありません。

 

No.4

米国医師会「医療AIの責任は開発者が負う方針」を採択 – AMA 2019年次総会から(6月20日公開)

米国医師会『医療AIの責任は開発者が負う方針』を採択 – AMA 2019年次総会から

学会が主導する声明などが、時として全体の潮流を大きく変える可能性を感じさせた記事でした。2019年に配信した短編記事のなかで最も注目度が高かったものです。今後の医療において、最終責任者は医師なのか、AIなど技術開発者なのか、あるいは患者自身の意思決定なのか、次世代の論点を予感させます。

 

No.5

AI医療利用の世界ランキング – 日本は調査対象外(7月22日公開)

AI医療利用の世界ランキング – 日本は調査対象外

グローバル化と閉鎖的な保護主義がせめぎ合い、AI開発に地政学的な影響は着実にあらわれています。前述していたPhilips社のFuture Health Indexから見えてくる世界の縮図ですが、いずれはそこに日本の姿が見えなくなるかもしれない。読者の皆様も感じるものがあったのでしょうか。注目度が高い記事でした。

 

No.6

Google Cloud AutoML – 専門知識を持たない臨床医が高精度な医療AIを開発(9月13日公開)

Google Cloud AutoML – 専門知識を持たない臨床医が高精度な医療AIを開発

黎明期に高付加価値 をもっていた医療AIが、世界最大のプラットフォーム提供者であるGoogleによって、市場価値を低下させ一般的な商品になる。いわゆるコモディティ化のひとつの形を端的に示す記事です。しかし医療AIは開発して完成という単純なものではなく、その先にある検証作業で生まれるのが本当の価値かもしれません。Googleが覇権を握ったと言い切るのは簡単なことではないでしょう。

 

No.7

【TXP Medical株式会社・CEOインタビュー】AI技術は救命救急医療にどのような変革をもたらすのか (10月28日公開)

【TXP Medical株式会社・CEOインタビュー】AI技術は救命救急医療にどのような変革をもたらすのか

日本国内の素晴らしい医療AI人材とスタートアップにフォーカスした、The Medical AI Times独自のインタビュー企画。代表である園生氏の人柄と先見性・革新性に、取材担当者をはじめ、編集部一同感銘を受けました。電子カルテは、ある意味日本では聖域あるいは不可侵の要素もあって、ブルーオーシャンかレッドなのか分からなくなる、ビジネスの難しさが見え隠れする非常に興味深い領域です。

 

No.8

双日が米国スタートアップへ出資を発表 – AI診断アプリ Sensely (11月7日公開)

双日が米国スタートアップへ出資を発表 – AI診断アプリ Sensely

商社やVCがこぞって投資先を探して競争するのも、医療AIを取り巻くひとつの事象です。そしてユーザーの手元に届く診断アプリが日本国内で真に実用化されるには、越えなければいけない壁があります。大局的な視野では、医療の個別化・低コスト化につながるという医療AIの本質がみえるでしょう。近い将来、一個人の患者・消費者にわかりやすい変化がみえてくる筆頭の領域であり、読者の注目が現在も続いています。

 

No.9

GoogleのFitbit買収は医療AIウェアラブルデバイスの勢力図を塗り替えるか? (11月8日公開)

GoogleのFitbit買収は医療AIウェアラブルデバイスの勢力図を塗り替えるか?

医療AIウェアラブルデバイスの流行は、Apple Watchの台頭で現時点でのひとつの決着が見えました。しかし、誰にも予想が付かないのも流行の側面であり、デバイスの陳腐化は私たちの思っている以上のスピードで進行し、少し先の時代には景色が変わっている可能性があります。医療の本質が見失わなわれない限り、勝負は続くのでしょう。

 

No.10

Apple Women’s Health Study – ハーバード大学とアップルが女性の健康研究を再定義する (12月10日公開)

Apple Women’s Health Study – ハーバード大学とアップルが女性の健康研究を再定義する

2020年に続く未来を感じさせるAppleの新研究です。巨人となっても革新し続けることは並大抵のことではないでしょう。2018-2019年はApple Heart Studyと日本未解禁であるApple Watchの心電図機能が話題となりました。腕時計と心電図という誰もがよく知っていたはずの古典的なデバイスに付加価値を生み出し、医療AIのトレンドを独走しています。今なおAppleから革新的な精神が失われていないことを一個人の意見で恐縮ですがとても嬉しく思います。

 

以上、編集部より2019年注目記事TOP10をご紹介しました。

それでは皆様よい新年を迎えられますよう。

 

The Medical AI Times

Deputy Editor:

T. Sugino MD(TOKYO analytica, Ltd.)

TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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