腹部X線画像における消化管拡張は、嘔吐や腹痛などを訴え受診する小児に頻繁に認められる所見である。正確な診断と手術適応のある患者の特定を迅速に行うことは、速やかな外科的介入のために重要である。トルコの研究チームは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを利用して、異常な消化管拡張のX線画像の特定を行い、Diagnostic and Interventional Radiologyに研究成果を公表した。
研究者らは、2019年から2022年までに撮像された消化管拡張または閉塞所見のあるX線画像612枚を、手術を要した患者群(298枚)と手術を要さなかった患者群(314枚)に分類し、さらに消化管異常以外の目的で撮像された腹部X線画像をコントロール群(540枚)として3グループに分類した。そして、事前に訓練された5種類のCNNモデル(ResNet50、InceptionResNetV2、Xception、EfficientNetV2L、ConvNeXtXLarge)について、転移学習と検証を行った。正常画像と異常画像の区別では、正解率がResNet50で93.3%、InceptionResNetV2では90.6%となり、手術を要した群と要さなかった群の区別では、EfficientNetV2Lで94.6%で最も高い精度を示した。
研究チームは「CNNモデルの転移学習を使用し、小児の消化管閉塞を高い精度で診断できることが示された」と結論付けている。今回、手術を要した群に16疾患が含まれたが、サンプル数が少なく個別評価が困難であったため、今後の多施設研究も期待される。
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