ICU患者は、長期臥床、循環不全、低栄養などの複数の要因により、褥瘡の発生リスクが高い。褥瘡リスクの予測には、ブレーデンスケールなどのいくつかのアセスメントツールが使用されているが、人工呼吸器管理中の患者は鎮静下にあるため、知覚や活動性の評価が困難である。中国の研究チームは、XGBoostを用いて「人工呼吸器を使用しているICU患者に対する褥瘡発生予測モデル」を構築した。
Natureの関連誌であるScientific Reportsに掲載された論文によると、米国ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのICUに入院した76,000人以上のデータベース(MIMIC-IV)から、呼吸器管理がなされた29,448名の患者が選択され、トレーニングセット(20,614名)と検証セット(8,834名)にランダムに分類された。このうち2,052名の患者で褥瘡が発症したが、XGBoostを用いた予測モデルにより、トレーニングセットでAUC0.797、検証セットで0.739を達成した。さらに、SHapley Additive exPlanations分析により、敗血症、年齢、血小板数、ICU滞在期間、PaO2/FiO2など、褥瘡発生の原因となる重要な10種類の特徴量を同定した。
研究チームは「本モデルの臨床応用に向けては、患者の移動性や予防的介入措置など、患者の転帰に大きく影響を与える要素をモデルに組み込むこと、また異なる医療機関や患者集団で外部検証を行うことが重要である」と述べている。
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