変形性頸椎症(DCM)は、高齢者に広く見られる疾患であり、頚椎の骨や椎間板の変性によって脊髄や神経根が圧迫され、さまざまな神経症状を引き起こす。韓国の研究チームは、矢状断T2強調MRI画像を用いてDCMを予測する深層学習モデルを開発し、その成果をSkeletal Radiologyに発表した。先行研究は、数十人から数百人程度の小規模なコホートに基づいており、その結果の一般化には限界があったが、今回はその5倍から10倍の規模のコホートを確立し、モデルのパフォーマンス向上を目指した。
研究チームは、2007年から2022年までに撮影されたDCM患者7,645名の矢状断T2強調MRI画像を、トレーニングセット(6,880名)とテストセット(765名)にランダムに分類した。ResNet50、VGG16、MobileNetV3、EfficientNetV2などの事前にトレーニングされた畳み込みニューラルネットワークに転移学習を応用し、アンサンブルモデルを構築した。その結果、本モデルはAUC0.96、正答率0.875、感度0.885、特異度0.861、陽性的中率0.893、陰性的中率0.851と、優れたパフォーマンスを示した。さらに、Grad-CAM分析により、椎間板の膨隆や脊髄のT2信号強度の増強など、DCMが示唆される所見が特定され、本モデルの高い病変検出能力が示された。
研究チームは「本研究におけるサンプルは三次医療機関から収集されている。選択バイアスによる偽陽性を避けるため、今後は大規模多施設でのモデルトレーニングが必要である」と述べている。
参照論文:
Deep learning-based prediction of cervical canal stenosis from mid-sagittal T2-weighted MRI
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