医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例関節リウマチにおけるうつ病を予測する機械学習アルゴリズム

関節リウマチにおけるうつ病を予測する機械学習アルゴリズム

関節リウマチ(RA)は、一般集団と比較してうつ病の有病率が約2倍高いが、医療資源の制約や偏見により、うつ病の併発が見逃されることがある。このような課題を背景に、モロッコの研究チームは「RA患者のうつ病を予測するための機械学習モデル」を構築した。

Cureusから発表された研究論文によると、本横断的研究はモロッコのフェズにあるHassan II大学病院のリウマチ科において、112名のRA患者を対象に実施されたという。うつ病の評価には、身体疾患を併存する患者における抑うつ状態の評価ツールであるHospital Anxiety and Depression Scale(HADS)が使用された。収集された変数には、年齢・性別・居住環境などの社会人口統計情報、RAの罹病期間・関節所見などの臨床データ、CRP・ESR・RF・ACPA・HAQ-DI・DAS28などの生物学的指標、メトトレキサートや生物学的製剤を含む各種治療歴などが含まれた。研究チームは、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、決定木、ロジスティック回帰(LR)、勾配ブースティングの5つの機械学習モデルについて上記変数から学習を行い、RAにおけるうつ病発症の予測能力を検証した。その結果、LRが最も優れたパフォーマンスを示し(正答率76.5%、適合率72.2%、再現率81.2%、F1スコア0.765、AUC0.767)、他のモデルを上回る結果となった。

本研究で構築されたAIモデルにより、RA患者におけるうつ病リスクを早期に特定することが可能となる。研究チームは、「今後は本AIモデルをモバイルアプリケーションに統合し、RA患者に対するうつ病へのタイムリーな介入を目指す」と述べている。

参照論文:
A Machine Learning Model for Predicting Depression in Moroccan Rheumatoid Arthritis Patients

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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