うつ病自動診断ツールのレビュー論文

npj Mental Health Researchに掲載された研究論文では、大うつ病性障害を予測することを目的とした、表情や声、意味的特徴を利用した最新のアプローチについてのシステマティックレビューを行っている。

現在、世界中で約2.8億人がうつ病に罹患していると推定される。従来、うつ病の評価には半構造化面接が用いられてきたが、この方法は主観的であり、バイアスや社会的スティグマの影響を受けやすい点が指摘される。適切なトレーニングを受けた専門家の不足が、特に低・中所得国において、妥当な医療へのアクセスを困難にしている。自動化されたうつ病評価ツールは、うつ病の客観的診断をあらゆる地域に効果的に提供することが期待されている。

計264報がレビューの解析対象に含まれた。モデルが十分に訓練されていれば、面接を受ける環境や年齢、アクセントや言語の違いに関係なく、無作為に選んだ個人のメンタルヘルス問題を正確に検出することができる傾向を明らかにしている。一方で、ほとんどのモデルは、サンプルサイズの限界と特徴の偏りを含む様々な要因に依存し、性能は一般化できない可能性に言及していた。自動化されたモデルを開発する際の現在の課題としては、「併存疾患を考慮していないこと」を特定しており、将来的には、併存疾患を含むモデルと含まないモデルを訓練し、モデル精度と特性をより良く理解するために比較する必要があるとしている。

著者らは、データやコードの共有を通して、頑健性と一般化可能性向上を見据えた研究発展に期待を示している。自動化されたメンタルヘルスの評価と治療は、マルチモーダルに多様な特徴を取り込むことで、さらなる有効性向上を見込むことができる。

参照論文:

A systematic review on automated clinical depression diagnosis

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