医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例犬とAIが呼気から早期がんを検出する技術、約2000万ドル集まる - 米SpotitEarly

犬とAIが呼気から早期がんを検出する技術、約2000万ドル集まる – 米SpotitEarly

非侵襲で、自宅で手軽に実施できる「呼気テストによる早期がん検出機器」を手がけるバイオテックスタートアップ、SpotitEarlyが、2,030万ドルの資金調達を果たし、米国でのサービス開始を目指す。このテストは、訓練された犬とAIを組み合わせて呼気中の揮発性有機化合物(VOCs)を分析し、女性に最も多い乳がんをはじめ、結腸直腸がん、前立腺がん、肺がんなどを極めて早期の段階で発見できる。Nature誌の「Scientific Reports」に発表された臨床試験では、約1,400名を対象に2年間にわたって検証し、約94%と高精度にがんの検出が可能であることを報告している

米国におけるがん治療費は2030年までに2,450億ドルに達すると予想されており、SpotitEarlyのがんスクリーニングはタイムリーな解決策となり得る。同社の技術は、訓練された犬の嗅覚と、犬の身体的、行動的シグナルデータを分析するAIにより、がんのバイオマーカーとして知られるVOCsの微量変化を検出する点が先進的で、従来のマンモグラフィーや血液検査を補完する非侵襲的かつ低コストなスクリーニング手段として期待されている。医師や研究者を科学顧問に迎え、分子遺伝学の権威David Sidransky氏や米国がん協会の元副最高医療責任者のLen Lichtenfeld氏など、米国有数の専門家陣が臨床試験や製品開発を支援している。

「早期発見が生存率を最大99%まで高め、医療費を大幅に削減する可能性がある」と評価するHanaco VenturesのAlon Lifshitz氏。SpotitEarlyのCEOであるShlomi Madar氏は「これまでアクセスが難しかったがんスクリーニングを、我々の技術で万人に届けられる」と意気込む。製品は2026年に米国での一般販売を予定し、将来的にはさらなるがん種への拡張や、集団検診への導入を進めることで、世界的ながん検出のパラダイムシフトを目指している。

参照論文:

Non-invasive multiple cancer screening using trained detection canines and artificial intelligence: a prospective double-blind study

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Shun Katayose
Shun Katayose
1.片寄駿 旭川医科大学医学部卒(MD)、Columbia University研究員、Accenture, LPIXELにて機械学習エンジニア、医療AIスタートアップのCEOなど。
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