医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIが咳の音から呼吸器疾患の有無を高精度判定

AIが咳の音から呼吸器疾患の有無を高精度判定

AIが咳音を解析して呼吸器疾患を判定する時代が、現実味を帯びてきた。インドの研究チームは、迅速スクリーニング向けに開発されたAIプラットフォーム「Swaasa」の有用性を検証し、その成果をScientific Reportsに発表した。

Swaasaは、咳嗽音の音響パターンから呼吸器疾患の「リスクあり/なし」を自動判定するシステムである。さらに、閉塞性・拘束性・混合性といった特定の疾患に特徴的なパターンも識別できるという。研究チームは355例を対象に呼吸器内科医の診断と比較し、Swaasaが87.32%で正しくリスクを予測したことを報告した。疾患特定における感度は97.27%、陽性的中率は88.54%と高い精度を示した。

研究者らは今後、より多様な人口、言語、文化圏を対象にした大規模スクリーニングに取り組み、データセットを拡充することで精度向上を図る方針だ。特に診断リソースが限られる低所得国・中所得国では、安価でアクセスしやすいリモート事前スクリーニングツールへのニーズが高まっている。研究チームは、Swaasaが「大規模人口や隔離された農村地域における疾患スクリーニングに革命をもたらし得る」とコメントしている。

参照論文:

A cross sectional feasibility study to evaluate the usability and efficacy of Swaasa AI platform for rapid respiratory health assessment

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本吉絢
本吉絢
東京女子医科大学卒(MD)、同大学医学研究科博士課程修了(PhD)、米University of Washington研究員を経て、現在は神戸アイセンターにてリサーチアソシエイトとして眼科AI研究に取り組む。趣味は自然と猫や馬など動物たちを愛でて静かに過ごすこと。
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