音声から疾患を捉える

米フロリダ州タンパにメインキャンパスを置くサウスフロリダ大学(USF)の研究者らは、音声から疾患診断を行うAIツール開発と、ベースとなる音声データの収集に取り組んでいる。

USF Healthで耳鼻咽喉科に勤めるYael Bensoussan医師は、同大学の「ヘルスボイスセンター」のディレクターで、本研究を主導する。人が話す際の声帯振動と呼吸パターンを含むあらゆる音声特徴が、健康状態を反映する潜在的情報を含んでいることを指摘し、現在は5つの主要な領域(神経障害・音声障害・気分障害・呼吸器障害・発達障害)における疾患診断の可能性を模索している。

この種のAI開発自体は極端に目新しいものではないが、患者音声データを広範に収集し、オープンソースとして公開することを狙うこの取り組みは大きな注目を集めている。現時点ではUSFやコーネル大学など、米国内10の学術研究機関の協力を得てプロジェクトを推進している。なお、米公共ラジオ放送(NPR)が、Bensoussan医師による解説音声を公開しているので参照のこと。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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