入院患者における褥瘡は早期予防が重要である一方、従来の評価法では初期リスクを十分に捉えきれない課題があった。チリの研究チームは、血液検査の結果は一才使わず、入院後8時間以内に収集される基本的な看護記録のみを用い、褥瘡発生リスクを予測する機械学習モデルを構築し、その結果をScientific Reportsに発表した。
本研究では、2022年にチリ・サンティアゴの三次医療機関に入院した患者446人を対象とし、入院後8時間以内に記録された看護データを用いて解析を行った。決定木、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、XGBoost、サポートベクターマシンの5つの教師あり学習モデルを比較し、交差検証により性能を評価した。褥瘡発生率は18.8%で、AIが重視したリスク因子には、身長・体重といった体格のほか、除圧マットレスの有無、身体拘束、そして特に「便失禁」の存在が強く影響していることが抽出された。中でもランダムフォレストはAUC82.4%、精度82.5%と最良の結果を示した。特筆すべきは、「AIが警告を出した患者が、実際に高リスクである確率(適合率)」を93.3%にまで高めた点である。
著者らは、「AIが過剰な警告を出すと、現場の看護師がアラート疲れを起こしてしまう。本モデルはあえて閾値を調整し、本当に危険な患者だけを確実に拾い上げるよう設計しており、過酷な医療現場の運用に即している」と述べている。今後は、電子カルテへの統合や他施設での検証を通じ、病棟横断的な早期予防ツールとしての応用が期待される。
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