うつ病の外来管理における課題として、病勢を長期的に監視する手段の乏しさがある。何らかの理由で診察間隔にばらつきがあると、患者の記憶が曖昧となり、正確な疾病エピソードの把握はより困難となる。また、1人の患者を複数の医師で診察している場合にも、その変化をモニターし、共有することは容易ではない。
英国 Harley Street Medical Areaにあるメンタルヘルス専門クリニック「Green Door Clinic」は、患者の声の変化を追跡する機械学習ツール「Affect.AI」を導入し、うつ病の症状変化を捉えるために活用しようとしている。うつ病患者の声のピッチや音量などがバイオマーカーとなって症状の重さを検出できることが、各種の先行研究で明らかになってきた。Affect.AIは独自のアルゴリズムによって「人間が捉えにくいトーンの違い」を検出し、ベースラインとの比較によって長期的な病状の追跡を可能にする。
Affect.AIはインペリアル・カレッジ・ロンドンで2019年当時医学生であったWoochan Hwang氏らによって設立されたベンチャーである。チームはアクセラレータプログラムMedTech SuperConnectorのハッカソンをきっかけに結成された。Green Door Clinicは英国で最も早期にAffect.AIを導入したクリニックとしてプロジェクトを支援している。
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