2型糖尿病の診断において、腹部CT画像データをバイオマーカーとして利用できる可能性が先行研究で示されてきたが、煩雑な手作業を要するなど現実的な制約があった。米ウィスコンシン大学の研究チームは、完全自動化のディープラーニング手法によって、腹部CTから2型糖尿病を診断するバイオマーカー研究を行っている。
Radiology誌に発表された同研究では、ウィスコンシン大学病院でCTによる大腸がんスクリーニングを受けた患者8,992名を対象とし、画像データセットから糖尿病を診断するディープラーニングモデルを構築した。自動化モデルの性能は手動解析の結果と同等であるとともに、糖尿病を予測する最良の因子として、「膵臓内における脂肪量増加などを反映したCT値の減少」や「膵臓外における内臓脂肪量の増加」を示している。その他の予測因子としては、膵臓のフラクタル次元(生体構造の表面積比率などを反映する幾何学的な統計量)、L1-L4椎体間のプラークレベル、肝臓CT値減少、BMIなどが挙げられている。
北米放射線学会(RSNA)のインタビューに対し、著者のRonald M. Summers氏は「糖尿病は、膵臓内と腹部の脂肪量増加と関連することが本研究から示された。この2ヶ所の脂肪が多いほど、長期的には糖尿病を患う可能性が高いと言える。本研究は、臨床課題に対処するため、完全自動化された手法を汎用化していく一歩だ。将来的には、糖尿病患者で起きる膵臓構造の変化に関する調査・研究にも役立つだろう」と語っている。
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