米ピッツバーグ大学などの研究チームは、脳スキャン画像から「外傷性脳損傷患者の予後」を高精度に予測する機械学習モデルを構築した。全米で毎年300万人が治療を受け、45歳以下における死亡原因の1位ともなっている外傷性脳損傷は、高度の個別化医療とそれに伴うアウトカム改善が強く求められてきた。研究成果はこのほど、Radiologyから公開されている。
チームの研究論文では、外傷性脳損傷の急性期における頭部CT画像および関連する臨床データに基づき、受傷後6ヶ月時点での生存率と回復の程度を予測する機械学習モデルを構築している。ピッツバーグ大学医療センターで過去に治療を受けた外傷性脳損傷患者群、および全米18施設から集められた患者群、の2つのコホートで性能を検証しており、この精度は脳神経外科医による予測を有意に上回るものであった。
著者らは「本AIは、外傷性脳損傷患者が救急搬送された際の、早期の臨床的意思決定を支援するものだ」とした上で、システムの臨床実装によって、患者アウトカムの改善に資することを期待する旨を強調している。
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