米ニューヨークに所在し、がん治療のトップリーダーとして知られる「メモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)」は、世界最大にして最古の民間がんセンターでもある。高度の臨床水準に加え、がん研究においても領域を先導しているが、このほど、同センターの研究チームは「血液サンプルから卵巣がんを検出する新しいAI手法」を開発し、その成果を研究論文として公開した。
Nature Biomedical Engineeringから公表されたチームの研究論文によると、患者の血液サンプルから、卵巣がんを感度87%および特異度98%で識別可能なAI手法の構築に成功した。近赤外領域で蛍光を発するカーボンナノチューブアレイをセンサーとして利用し、その発光スペクトルデータを用いて機械学習モデルをトレーニングしている。著者らは「既存がん抗原、および経膣超音波法などによる現時点で最高の臨床スクリーニング検査が、感度84%、特異度98%である」ことを指摘し、研究成果の革新性を強調する。
新たな「疾患フィンガープリント」を同定したとも言える本研究成果は、既存手法のいずれに対してもより早期に病変を検出する可能性があり、有効な卵巣がんスクリーニングを一般化させる次世代検査としても注目を集めている。
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