医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究AIが「高齢者のER受診と入院」を77%削減

AIが「高齢者のER受診と入院」を77%削減

米ニュージャージー州全域で在宅医療を展開する「Clare Medical」はこのほど、AIベースのリスク診断プラットフォーム活用によって「高齢者におけるER受診と入院を77%削減」したとする臨床試験の成果を公表した

Clare Medicalが明らかにしたところによると、このAIモデルは、医師でClareのデータ分析部門を率いるElie Donath氏が開発したもの。医療記録から「ER受診や入院を必要とする高リスク患者」を特定し、どのような疾患や病態に対して対処する必要があるかを予測することができる。300名の高齢患者を対象とした臨床試験では、モデルによって特定されたハイリスク患者への選択的な医療介入を行うことにより、ER受診や入院といった望ましくない転帰を77%減少させることができた。さらに、入院リスクの高い患者を3%の誤差範囲で明らかにするなど、臨床的有効性を示唆する高いパフォーマンスが示されている。

Donath氏は「他のAIベースの診断戦略では、なぜそのような予測がなされるのかを理解するための手段は提供されないが、我々のアプローチでは、患者が高リスクであることを特定するだけでなく、不幸な結果を防ぐために何ができるのかについて明確な方向性を示すことができる」と述べ、ツールの独創性と有効性を強調する。

関連記事:

  1. サウスカロライナ医科大学 – AIによる遠隔診療の強化
  2. 高齢者ケアへのAI活用研究 – 看護系主導の一例
  3. 精神疾患へのAI活用 – 機械学習アプローチによる長期予後の予測
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事