英国では放射線技師の一部(reporting radiographer)が、一般業務として画像読影レポートを作成しており、その業務をAIがサポートする動きが広がっている。しかし同時に、それらエンドユーザーにおける「AIへの理解が不十分である可能性」も指摘されている。北アイルランド・アルスター大学の研究チームは「画像読影を行う放射線技師を対象とした、AIの仕組みに関する理解度」を調査している。
調査結果は、英国画像腫瘍学会(UKIO)の2022年次総会で発表され、あわせてRadiographyに収載されている。調査対象となった86名の放射線技師のうち、53名(62%)は「AIシステムがどのように判断に至っているかの理解に自信がある」と回答した。しかし、「患者・介護者・他の医療従事者にAIの決定を自信を持って説明できる」と回答したのは、3分の1以下の25名(29.1%)に留まった。また自身のレポートがAIから肯定された場合に自信が高まるのは49名(57%)、AIから同意が得られなかった場合は60名(70%)がセカンドオピニオンを求める、という調査結果であった。
回答した放射線技師は、AIシステムがどのように決定に至ったかの理解には自信を持っているが、そのプロセスを患者やスタッフに説明することには苦手意識がある。研究チームはこの事実を、「自信が能力と一致していないことを示している」と考察し、ユーザー教育とシステムの透明性向上が今後も必要となることを強調する。
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