韓国・大邱慶北科学技術院(DGIST)の研究チームは、病理画像中からがん部位のゾーニングを正確に行う弱教師付きディープラーニングモデルを開発した。既存のモデルとは異なり、モデル構築にあたって「がんの正確な位置が示されたデータセット」を必要としない画期的なアプローチは、関連分野への大きな貢献が期待されている。
医用画像解析分野のトップジャーナルとなるMedical Image Analysis Journalからこのほど公開された研究論文によると、チームはまず教師なし対照学習により、パッチから有意な特徴を効率的に抽出することをネットワークに教え、これを用いて各位置情報を維持しながら主要な特徴を検出し、パッチ間の相関を維持したまま画像サイズを縮小する病理画像圧縮技術を開発した。その後、クラス活性化マップを用いて「圧縮された病理画像」からがんの可能性が高い領域を検出し、画素相関モジュール(PCM)によって病理画像全体からがんを疑う領域を全てゾーニングできるモデルを導出した。このディープラーニングモデルは、がんゾーニング問題においてこれまで提案されていたパッチレベルの手法や、他の弱教師付き学習手法の性能を大きく上回っていた。
著者らは「当該モデルが、病理画像解析を必要とする様々な研究の効率化に貢献することが期待できる」とした上で、「今後、関連技術をさらに改善することで、医療画像のゾーニングに関する多くの課題に普遍的に利用できるようになる可能性」を強調している。
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