ラドバウド大学医療センター(オランダ)の研究チームは、放射線科医がAIによるサポートを受けることで、マンモグラフィーの読影における乳がんの診断精度が上がるとの研究成果を公表した。AIのサポートによって乳がんの種類や重症度にかかわらず、診断率が高まる一方で、読影にかかる時間が延びることはなかったという。
医学誌Radiologyに今月20日掲載された論文によると、14名の放射線科医が240名のマンモグラフィー画像を、AIによるサポートがある場合とない場合とでそれぞれ読影を行い、その診断率に差があるかを検討したという。研究に用いたのは米Transpara社のAIシステムで、マンモグラフィー画像から乳がんを単独で診断する機能もすでに備えている。
マンモグラフィーの読影作業は極めて専門性が高く、比較的手軽に行える検査であるにもかかわらず、十分な診断能力を持つ医師が不足していることが課題とされてきた。Health Imagingによる、マサチューセッツ総合病院放射線科Manisha Bahl医師へのインタビューでは、「マンモグラフィー画像からの乳がん診断において、AIアルゴリズムはすでに専門医と同等のレベルにある」と述べ、AI利用の有効性が強調されている。